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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第12章 秘密の約束


 その日の夜、緒方の自宅。薄暗い部屋では熱帯魚の水槽が青い光を放っている。緒方はソファに腰掛け、格上の座間王座との対局と、星歌との美術館の約束を振り返っていた。…なんであんなこと言ったんだ…と「じゃあ、車で行くか?」の言葉が頭をよぎる。幽玄の間に連れていくのとは訳が違うぞ…と、胸にざわつきが広がる。あのときカフェに客は自分だけで、対局の勝ちで気分が高揚していた。偶然が重なっただけか?答えが出せないまま、ただ美術館に連れてくだけだ、と自分に言い聞かせる。そして、楽しみでもあるのは事実だが、もしかすると顔に出ていたか…?と、白川と星歌に「キラキラしてる」と言われたことを思いだして苦笑いする。
「今度の日曜13時、マンションに迎えに行く」
 緒方はスマホを取り出し、星歌にメッセージを送信する。すぐには既読が付かないことに少しの不安を覚えて、スマホをテーブルへと置く。未読とか既読とか気にして、オレは中高生かよ…と自嘲しながらソファに横たわっている。
 同じ頃、星歌は自室のデスクで教科書を開き、ノートをまとめている。スマホの通知に気づき画面を見ると、それは緒方からのメッセージであり、胸が一瞬高鳴る。そうだった、美術館行くんだった…!と、特別展への期待が膨らむが、ふと、これって…もしかしてデート?と頭をよぎる。いやいや、緒方先生は優しいから連れていってくれるだけだよね…。幽玄の間のときと同じだよね…と、すぐに否定しつつも頬は熱い。
「日曜13時、わかりました。 楽しみです!」
 星歌は緒方に返信してスマホを置き、再びノートをまとめる。一方、緒方のスマホに星歌の返信が届く。「楽しみです!」の文字に、楽しみにしているのはオレだけではないんだな…と、緒方は思わず笑みを浮かべていた。
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