第32章 「特別な存在」になるホワイトデー
唇をそっと離すと、星歌は顔を真っ赤にして俯く。その反応があまりにも愛しく、この表情をずっと見ていたい…と、独占欲がさらに膨らむ。野暮なことを承知で、緒方はそっと聞く。
「初めてなのか?」
星歌が小さく頷くのを見て、そうか…と、彼女の過去にこだわりはなかったが、オレが初めてか…悪い気はしないなと、心の中でほくそ笑む。それと同時に、星歌の恥ずかしがる姿があまりに愛らしく、もっとこんな反応を引き出してみたいと、少し意地悪な気持ちが芽生える。
「オレたち恋人だから、これからたくさんキスするんだぞ?」
わざと軽い口調で言う。星歌は顔をさらに赤くして、俯いたまま小さく頷く。この照れ方…そそられるな…と、緒方の愛しさが募り、思わず調子に乗る。
「キスより恥ずかしいことだっていつか…」
「え…」
星歌が不安そうに顔を上げる。それを見て、しまった…この子には早すぎたか…と、緒方は内心で反省する。星歌はまだ高校生だぞ…と自分に言い聞かせた。
「キミはまだ高校生だから、ずっと先の話だ」
優しくフォローして、星歌の頭をそっと撫でる。この子のペースに合わせないとな…と、心を落ち着かせる。
「はい…」
静かな星歌の答えに、「はい」なんて少しよそよそしいだろ…?と疑問が湧く。緒方は軽く笑いながら言う。
「恋人になったんだから、敬語はなしだぞ?」
「そんな、急に…!」
星歌が困った顔で訴えると、この困り顔もかわいいな…と、緒方の中でますます愛しさが膨らんでいく。
「少しずつ慣れればいい」
緒方は優しく笑い、星歌のペースでいい…と、彼女の初々しさを大切にしようと思う。
モジモジとしながらも軽く頬を膨らませている星歌を緒方は穏やかな目で見つめる。この表情の変化、いいな…。まだまだずっと見ていたい。でも、あんまり遅くなったらダメだな…。そう考えたとき、そういえば夕飯は…?緒方は気づく。