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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第32章 「特別な存在」になるホワイトデー


 星歌は俯き、そっと涙を拭う。彼女がオレを受け入れてくれた…緒方の心は幸福感で満たされている。オレはこの笑顔をずっと守る…と、決意を新たにする。
 ふと、もう恋人なんだから…と、ずっと口にしたかった彼女の名を初めて呼ぶ。
「星歌」
 星歌が驚いたように顔を上げ、目を見開く。
「オレたち、恋人だろ?」
 緒方は彼女の反応を愛しく思い、柔らかく笑いながら言う。星歌は頬を赤らめ、小さく頷く。
「オレのことも、恋人らしく呼んでほしい」
 緒方は思い切ってリクエストをする。どんな風に呼んでくれるかな…と、期待と少しの緊張が混じる。
星歌は恥ずかしそうに視線を落としてから、そっと呟く。
「精次さん…」
 今までの女とは違う。この声、たまらないな…。初めて「緒方さん」と呼ばせたときとは比べものにならない感情だった。星歌の声に緒方の胸は熱くなり、口元が緩む。
ふと、緒方の視線が紙袋をとらえる。せっかくだから、自分が選んだブレスレットを着けたところを見たい… と、緒方の胸に独占欲のような感情が覗いていた。
「着けてみよう」
 そう言って星歌の左手を取る。細い手首にひまわりモチーフのブレスレットをそっと着け、金具を留める。
「素敵…」
 星歌が左手を裏返したり表にしたりして眺める姿に、こんな反応されると、オレの知らない彼女をもっと見たくなるな…と、独占欲が増していく。
 やましいことはしないって思っていたが…と、緒方は星歌の左手を取り、手首にそっとキスを落とす。ピクッとして驚くような反応に、この初々しい感じ、反則だろ…と、心がさらに熱くなる。空いた手で星歌の顎をそっと上げ、これくらいなら…いいだろ?内心で自分に言い聞かせ、優しく口づける。唇が触れる直前、星歌が目をぎゅっと閉じたのが見えた。その恥ずかしそうな様子が、緒方の心を揺さぶる。キスなんて慣れているのに、こんなに幸せなものなのか…。この瞬間、ずっと忘れない…と、星歌の唇の柔らかさとあたたかさに、緒方の胸がいっぱいになっていた。
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