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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第32章 「特別な存在」になるホワイトデー


 3月14日、緒方は自宅でソワソワと時計を気にしながら星歌を待つ。テーブルにマカロンとブレスレットのラッピングボックスの入った袋が置いてある。「特別な存在」って、芦原の言う通りだな…と、研究会での会話を思いだす。これで、ちゃんと伝えられるな…と胸が高鳴る。バレンタインの抱擁が頭をよぎり、オレはあの子の笑顔を守ると、決意を新たにする。
 20時、インターホンが鳴る。緒方はオートロックを開錠後、玄関の扉を開けて待つ。エレベーターから人の降りる音がし、星歌の姿が見える。緒方の近くまで来ると、星歌は緊張したような笑顔で言う。
「こんばんは」
「ああ、入れ」
 緒方は柔らかい声で迎え、ソファに星歌を座らせる。バレンタインのときとは異なり、緒方は星歌の隣に腰を下ろす。これでいいよな…と、内心ドキドキしながらも言う。
「これ、ホワイトデーだから…気に入ってくれるといいんだが…」
「ありがとうございます。緒方さんが選んでくれたなら、何でも嬉しいです」
 星歌は笑顔を弾けさせる。その笑顔に、緒方の愛しさが募り、この子、こんなに喜んで…と心があたたまる。
「開けてもいいですか?」
 星歌の問いに緒方が頷くと、彼女はラッピングをそっと解く。ボックスの中には、小ぶりのひまわりモチーフのブレスレット。
「かわいい…、ひまわり、ゴッホみたいですね」
 うっとりしたように星歌が言う。気に入ってくれたか…?と、緒方はホッとする。そして、今だな…と、告白のタイミングを見計らう。
「志水くん」
「はい」
 星歌緊張した面持ちで緒方の目を見つめる。緒方は目を逸らさずに続ける。
「オレはキミが好きだ。年の差を気にしたこともあったが、キミと一緒に歩んでいきたいと思っている。噂がキミを傷つけないようにオレが全力で守る。だから…オレの恋人になってほしい」
 星歌の目にはうっすらと涙が浮かび、頬には赤みが差している。
「私も、緒方さんが好きです。よろしくお願いします」
 星歌の声は少し震えていた。
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