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白と黒のハーモニー【ヒカルの碁・緒方精次】

第31章 バレンタインの報告会


 塔矢名人宅での研究会。緒方は十段戦に向けた検討を進めつつ、星歌への想いが頭をチラつく。
休憩時間、芦原がアキラに声をかける。
「アキラ、チョコ何個もらった?」
「母と市河さんからの2個」 
 市河とは、塔矢名人が運営する碁会所の受付担当で、アキラをとてもかわいがってくれている。
「え!市河さん、オレにはくれなかったぞ…?まァ、いいか…。オレは、3個もらった! オレの勝ちだな!」
「すごいね、芦原さん」
 アキラは淡々と返す。
「お返しのお菓子の選び方、教えてやろうか?」
 芦原は調子に乗ってアキラに絡む。   
 緒方は、2人の近くでお茶を飲みつつ、聞き耳を立てる。
「ホワイトデーのお菓子って意味があるんだよ」
 芦原は得意げに続ける。アキラは興味がなさそうだが、緒方は、意味…?と、耳をそばだてている。
「クッキーは「友だち」、キャンディーは「好き」、マカロンは「特別な存在」って感じだな。アキラは義理チョコだから、返すのはクッキーだな!」
 マカロン…特別な存在?と、緒方は内心ドキッとする。志水くんに、ぴったりだ…。星歌の笑顔が浮かび、マカロンを渡すか…と決める。
 芦原が緒方に目をやり、ニヤリと笑う。
「緒方さんはマカロンを返すんですね?」
 からかうように言う。緒方は一瞬ギクリとし、なんでバレたんだ…?と動揺しながら平静を装う。
「何のことだ?」
「だって、顔に書いてありますよ!絶対あげる気満々でしょ!アキラもそう思うだろ?」
 芦原はゲラゲラと笑い、アキラは困った顔をしながらも頷く。
「余計なお世話だ」
 緒方はそっぽを向くが、耳が赤くなるのを自覚している。

 研究会後の片付け中にも、芦原はさりげなく言う。
「緒方さん、本命の子にはアクセサリーとか一緒に贈るんですよ」
「アクセサリー?」 
 油断していた緒方は思わず反応してしまい、しまった… と後悔。芦原はニヤニヤと笑い、アキラも珍しく小さく笑って言う。
「緒方さん、やっぱりマカロンを返すんですね…」
 緒方は顔が熱くなりながらも黙って碁盤や碁石を片付ける。内心では、ホワイトデーのお返しか…十段戦より難しそうだ…大丈夫か?と、自分自身に突っ込んでいた。
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