君の素肌に触れさせて【チェンソーマン短編集 R18】
第1章 高校の先輩と満員電車で…【吉田ヒロフミ】
その瞬間、電車が大きく揺れた。
『きゃ…』
ボンヤリしていた私はバランスを崩し、壁の方を向くような姿勢になってしまう。
後ろから押されているのか、吉田先輩の顔が近づいてきた。
「…悪い」
『い、いえ…』
熱くなる耳元の、すぐ近くで声がする。
「…ん?……なんか、いい香りがする。…ルルちゃん香水つけてる?」
『えっ……ぁ…シャンプーのにおい、かも』
「へぇ…」
スンスンと嗅がれ、顔にまで熱が集まってきた。
『…すみません。汗かいてて…』
「そんなの気にしなくていいよ」
そう言う先輩の視線が、うなじのあたりに注がれているのが分かった。
「…ホントに大丈夫か?マジで顔赤いけど」
『っ……だ、大丈夫です…』
囁くような声と吐息が耳をくすぐる。
思わず首をすくめると、先輩は小さくフッと笑った。
「前が壁で苦しくない?…俺に寄りかかっていいよ」
『…ありがとう、ございます…』
その時、私はスカートの中に微かな違和感を感じた。
『……ぇ…』
「…どうした?」
『ぃぇ…あ、あの……それが…』
言いにくそうにしている私の顔を、心配そうに覗き込んでくる。
「なんか困ってるなら、遠慮なく話して?」
先輩の優しい声に、私はおずおずと打ち明けた。
『……すごく、恥ずかしいことなんですけど……私、今日履いてる下着…左右の横の部分が紐になってるんです。……それが…片方、ほどけてしまったみたいで…』