第16章 気になる過去 ❦
「んっふっ」
必死に絡みつこうとしてくる舌を誂うようにして、たっぷりと口内を犯していく。
吸って、絡めて、甘噛みして。
そうして口内に溜まる唾液を絡めた舌で、頬の内側や歯列を擽っていく。
うまくはないが、鼻で息をしてしっかりと受け止めている繭結に、どこで学んだのか、と微かな嫉妬が火を灯す。
それを教え込むようにキスがより、深くなる。
苦しげになってきた漏れる息に、ようやく解放する。
「んっへぁ」
はあ、と息をついた繭結と繋がる糸がトロ、と垂れる。
少し酸欠気味なのか、ハァハァと少し息が上がり、トロン、とした目に、窮屈だと訴えている箇所がヒクリと反応した。
それを知ってか知らずが、ノロノロと動いた繭結の手が、ジャージのジップアップを下ろす。
はら、と繭結の肩から滑り落ちたジャージ。
「かわええの」
俯いた顔を隠す髪を耳に掛け、両手で上を向かせた繭結の額にキスをする。
軽くたたまれたジャージを受け取り、自分もシャツを脱ぐ。
来んしゃい、とあぐらで座った膝を叩く。
膝の間に収まるように座った繭結の額、こめかみ、頬とキスを落としていく。
「寒ないか?」
うん、と頷いた下着姿の繭結を抱き寄せる。
つう、と胸の間を撫でる指先に、なんじゃ、と俯く繭結を見る。
「ん、触りたい、だけ」
体温を確かめるように胸に手を当てると、今度は肩から腕にかけてを撫でる。
体を撫で回す小さなぬくもりに、目を閉じる。
上半身を中心に這い回っていた手がスウェット越しの太腿を撫でる。
膝から内腿を擽るように撫でられ、やめんしゃい、と笑いを含む声でその手を掴んだ。
少し首をひねるようにして上を向き、首筋や鎖骨にキスをしていく繭結。
「触ってほしか所に、キスしてみんしゃい」
えっと、と少し考えた繭結は、頬の下側、輪郭あたりにキスをした。
繭結の輪郭を包み込むように撫でる。
次にキスをしたのは、耳たぶの付け根。
そこに触れると、んっ!と甘い声を漏らした。
柔らかな小さな耳たぶを弄ぶと、あ、と震えて体を預けてくる。
「ふふ、悪い子じゃのぉ。
こがん簡単に弱みば見せてしもうて」
次はどこがええ?と耳元に寄せた唇で、低く、囁いた。
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