第14章 新たな脅威
喫煙から部屋に戻ると、繭結の姿が無く、キョロッと探す。
「繭結?」
隠れとるき?と片付けが終わったリビングを抜け、確かキッチンに、とそちらに向かう。
「繭結、」
キッチンカウンターの向こうに蹲っている姿を見つけ、繭結、と駆け寄る。
「どがんした?」
俯く肩に手をかけて覗き込む。
ふるふると頭を振る繭結に、顔ば見せんしゃい、と声を掛ける。
「気分、悪いがか?
吐きそうか?
どこが痛むぜよ?」
それでも頭を振る繭結を抱きしめた。
「大丈夫じゃ、まー君がおるき。
ひとりやなか。安心せぇ」
怖なか、と座り込んで脚と腕の中に抱き寄せる。
「っちがっ」
「ん?よか。
今は落ち着きなせぇ」
何か言おうとする繭結の頭を抱き寄せ、よしよし、と優しく髪を撫でる。
泣かないで、という気持ちと、自分の前でならどんな表情でもいくらでも見せてほしい、という気持ちを、抱き寄せる腕に込める。
腕に抱く頭に唇を寄せると、身動いた繭結に、ん、と視線を向ける。
「まーくん」
そう呼んだ繭結を、うん、と抱きしめる。
好き
微かにも、確かに聞こえた声。
思わずより強く抱きしめると、胸を押す繭結を見おろす。
「繭結?」
「私、雅治さんの、なに?」
そんなもの、と言いかけた口を閉じる。
なぜそんな事を聞くのか、と思案する。
ああ、と、すぐに答えにたどり着く。
「そんなもん、決まっとろう」
スリ、と頬を撫でた指先に、涙が染み込む。
「大事な恋人ぜよ」
「っいいの?」
「よかもなんも、ほかになか」
言っとらんかったのぉ、と潤んだ瞳に笑いかける。
「まぁ、これからもよろしくな」
クシャクシャに泣く繭結。
「好いとぉよ
繭結んこと」
新しい涙を流す繭結に、泣きなさんな、と微笑みかける。
「あんまりそう熱く見なさんな」
そういう雅治を見上げる繭結。
「何か言いたそうな顔じゃのぉ」
「っずるいっ!」
「さぁのぉ、なんのことか...」
クスクスと笑いながら脚を伸ばして座り、抱き寄せる。
「かわいい顔が台無しじゃ」
そう言って、濡れた繭結の唇にキスをした。
✜