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カクテルとキャラメル・ラ・テ

第18章 家族



「はい?」

悪かないじゃろ?と向かいで笑顔の雅治。

「建築知識とか、無いんですけど」
「仕事は事務と受付業務ぜよ。
 受付嬢と待遇はそう変わらんはずじゃ」

引っ越し作業も落ち着き、職探しにより本腰を入れねば、と考えていた繭結は、雅治が差し出す紙を受け取った。

「もともと事務員はおったんじゃがな、コレで辞めるそうじゃ」

細い、というよりは薄い、という印象の腹回りを手で表す雅治に、手元の「求人票」に目を通し、あの、と聞く。

「これって、職場恋愛になるんですか?」

雅治が所属する設計事務所の求人票に、どこか不安げな繭結。

「トラウマになっとるが」
「そう言うわけでもないんですけども...」
「就業規則に『社内恋愛禁止』は無いぜよ」

見るか?と見せられたのは文字の羅列のタブレット画面。


「いえ、そこでは無く...
 雅治さんの会社、オフィスは渋谷区ですよね」
「んだ」
「突然の東北訛り...
 えー、30分は掛かりますよ」

ここ中央区だし、と携帯を手にして、オフィスの場所を調べる繭結。

「あ、銀座線で乗り換え無しで行けるのか」
「通勤は、送迎しちゃるぜよ」
「え?雅治さん、リモートじゃないですか。
 それに、日本橋から世田谷区じゃ、渋谷区挟んで真反対です」
「なに、年明けにはこっちに来るつもりじゃからな。
 中央区から渋谷なら車で30分程度じゃろう」
「リモート、辞めるんですか?」
「繭結がおるなら出社せんわけに行かんが」
「意外と思考が『甘い』ですよね。
 一緒にいたいとか依存すればいいとか」

そう、思考が甘い、と考える繭結。

「あ、わかった。『乙女脳』なんだ」
「純愛と言ってケロ」
「それは違う」
「ひどいぜよっ」
「なんだろう、いまだに漂うこの得体の知れない感」
「...おんし、本当にようそれで付き合うたな」
「言ったじゃないですが。
 結構な冒険だって」
「俺、彼氏よな...?」
「そ、ソウデスネ」

照れたように髪を弄る繭結の頭を、肯定をもらえた雅治は、満足そうに撫でた。

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