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The usual one【ヒロアカ中心】

第4章 Erode(ホークス)


 ぱっきーは、結構あっさりオファーを受けてくれた。

 「応援団長って、仮免試験にそんなの必要ですかねぇ」

 と、目良が言ったがこういうエンタメも必要だ。

 「いた方が、盛り上がりそうじゃないですか。ファンが仮免試験、受けるかも知れないですし?」
 「まぁ、好きにして下さい」

 という訳で、今日は打ち合わせと称した初顔合わせ。

 「甘井繭莉です、よろしくお願いします」
 
 深々と頭を下げる、ぱっきー。
 意外としっかりしているかもしれない。

 「よろしくおねがいしゃす、ぱっきー」
 
 取り敢えず、愛称で呼んでみる。

 「公安委員会の、会長さんですよね?何か……」

 軽い、とでも言いたいんだろうか。
 まぁ実際軽い挨拶だったので仕方ない。

 「そ。こっちは公安の目良善見さんで、こっちが試験のサポートしてくれてるツクヨミ。あと何か分かんないことあったら、彼らに聞いて」

 ざっとスタッフを紹介していくと、ぱっきーは彼らにペコペコとお辞儀をした。

 「じゃあ、何から手をつけようかな……取り敢えず、プロモーション動画でも撮ろうか」
 「はい、よろしくお願いします!」

 こうして、1日だけの仮免試験に向けたちょっとした企画が始まったのだった。


 撮影も大分終わり、あとは編集作業だけとなった。

 「今、スタッフに動画編集してもらうから、チェックまで少し待ってて」

 そう言うと、椅子に座っていたぱっきーが「はぁい」と返事をして鞄の中から何かを取り出した。
 それは、ハードカバーの本。
 最近は鞄の関係とかで文庫を読む人間も増える中、彼女はハードカバーを選択していた。
 
 「ぱっきー、何読んでるんスか?」

 後ろから覗き込むと、彼女はページをめくりながら言った。

 「『親愛なるあなたへ』。ちょっと前のやつだけど、面白いですよ」
 「……へー……」

 意外と文学少女、ぱっきー。

 「すごく、好きなの」

 そう言った彼女の笑顔が、どこか寂しそうだと目聡いホークスは思ってしまった。

 「この後、予定とかある?」

 何故かそう、聞いていた。
 別にワンチャンどうやらとか、そういう気は多分なかった。

 「え、えっと……グラビアの撮影入ってて」
 「そっか。じゃあ、作業急がせるね」
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