第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)
取り敢えず、亜有佳達から貰った情報を頭の中で纏めてみた。
ウィングヒーローホークス。
福岡県出身。
誕生日12月28日。
B型。
172センチ。
個性は生えてる羽使って色々出来る。
22歳。
ざっとこんな感じだ。
……22歳……6コも上……軽~くおっさんじゃん……
いや、ああいうのさ、きっとアレだよ?
恋愛リアリティーショーで、女子達がこぞってハマっちゃうタイプの男。
つまり、触るな危険ってヤツ……。
「でもさぁ、何でホークス、ココに居たんだろうね?」
頭の中を整理していた私に亜有佳が尋ねてきた。
「さぁ……本人に聞けばよかったじゃん」
「繭莉が聞いてよぉ」
……聞けるわけないじゃん……
というか、彼がまたここに来るかどうかなんて私も知らない。
ここにいた目的も知らない。
不明な事が多すぎる。
だけど、やたらと目がキラキラしてたのは、覚えてる。
日の光に当たって、あれ……シトリンみたいに……
「……綺麗だったな……」
思っていた事がついうっかり口に出てしまい、慌てて手で口を押さえたけど、それを聞き逃さなかった亜有佳と麻弥が勝手に盛り上がる。
「えっ、繭莉、ホークス好きになっちゃった!?」
いや、全然。
「一目惚れ?あれ、ううん、ホークスに一目惚れされた?あれ?何言ってんだろ私……や、いいじゃん!取りあえず何か言われたら付き合っちゃいな!」
付き合うって……何その、トンデモ展開。
「……っていうか……」
皆、ドラマとか、観すぎ……
「なぁに?繭莉」
麻弥にワクワクした声で言われて、もうこの話を終わらせたかった私は「ううん、何でもない」と無理矢理笑った。
次の日の昼休み。
「はぁっ、疲れた~」
パンでも買おうと思って、伸びをしながら購買部に向かった私は、したくもない再会をしてしまう。
「あ、昨日のコ」
「……ぅわ……」
昨日のアイツ……ホークスが堂々といるじゃあないか。
「何で、うちの学校にいるんですか……」
亜有佳の代わりに聞いてあげると、「ん~」と斜め上に視線を泳がせるホークス。
「コレ」
ずいっと何かを目の前に出される。
……缶、コーヒー……?