第15章 本当はね(ホークス)
何かショートにツッコまれる前に自分の部屋に戻ろうとそそくさと2人の前を通り過ぎようとしたけど、もう遅かったみたいだ。
「誰だ?」
当たり前だけどショートに言われて、鷹見は視線を左斜め上に泳がせた。
「……ん~?」
あまりに煮え切らないリアクションに、ショートが小さく溜息を吐いた。
「あんま言いたくねぇが、ンな事してっとネットニュースに書かれんぞ……ホークス」
「……ほ……?」
ショートの口から出た、ホークスというワードに私は驚きを隠せずその場に立ち尽くした。
え、ちょっと待って……
今、ホークスって言った?ショート。
え、あ、嘘……うっそ……
「ホークス……?」
本人から真実を聞きたくて、鷹見の方を見ると少しばつが悪そうな顔をしていた。
「繭莉さんが、なんか他人だと思ってたんでしょ……」
「だ、だってあの時……や、ほ……ホンモノ……?」
「ええ、まぁ」
うっそおおぉ!
ずっと、他人の空似だと思ってた……!
あれ?でもさぁ……
「……はね……」
そうだ。
ホークスと言えば、真っ赤な翼。
その翼で、自由に空を舞っていた……そんなイメージだ。
だけど、今目の前にいる鷹見にはそれがなかった。
「ないじゃん……どういう事……?」
ぺたりと鷹見の背中を触ると、彼は笑顔で言った。
「んー……まぁ、色々あって今俺、無個性なんです」
無個性?え?そうなの……?
あ……
だからかな?
私は、あの日の夜の少し寂しそうな鷹見の顔を思い出した。
入院ってさ、治療と検査以外に特にする事ないじゃん?
だから、アンニュイな気持ちになってさぁ……いつも飛んでた空が恋しくなっちゃたんじゃない?
それで、あの顔……
「たか……いや、ホー……あれ、うーん……?」
いきなりホークスと呼び変えるのもおかしいかと思うと、つい言い淀んでしまう。
「いいですって、繭莉さんは鷹見で」
「……ごめん、鷹見……なんか……色々……」
てっきりホークスのそっくりさんだと思ってた事?
それとも、慣れ慣れしい態度で接してしまった事?
まず、どこから何を謝ればいいのか分からなくなって言葉に詰まった。
そんな私を見て、鷹見が首を傾げた。
「なんで繭莉さんが謝るんスか?」
「いや……鷹見の事、色々なんか勘違いしてた……」