第15章 本当はね(ホークス)
「今向こうの廊下、看護師さん通りましたよ。見回りじゃないっすか?」
「や、やば……!」
こんな、病室抜け出したのバレたら怒られるかな?
帰んなきゃ!
「じゃっ、じゃあね鷹見!」
私は若干焦りながら小走りでデイルームを後にした。
病室に向かいながら、私は何故か鷹見の事を思い出していた。
なーんか、不思議なヤツだよなぁ……鷹見って。
あんな寂しそうな顔してみたり、いきなりキスとか……
いや、アレは女引っかける作戦なんじゃ……?
そして、ふと至近距離で見た顔を思い浮かべる。
やっぱ、似てんだよなぁ……
ホークスに。
そりゃもう、本人を語った詐欺でも出来そうな程にさぁ。
ま、世の中3人は自分に似た人いるっていうからなぁ……
そう思っていて、私は気付きもしなかった。
まさかあの鷹見が、ホークス本人であるという事に。
入院2日目の昼。
「あ―――……お腹空いた……」
私は、空腹に飢えていた。
人生において絶食なんてした事がなかったので、この空腹に耐えろというのはめちゃくちゃキツイ。
「甘井さん、大丈夫!あと3日位で慣れるから!」
向かいのベッドの遠藤さんが励ましてくれるけど、正直こんな飢餓状態に慣れたくなんてない。
「はぁ……ありがとうございます遠藤さん……」
病院の味気ないお茶を啜りながら私は気のない返事をした。
「あ!そういえば甘井さん、上村さんどうだったぁ?」
重湯をつついていた海野さんに言われて、私ははっと顔を上げた。
「え……うん……イケメンだねぇ……でも、28歳てめっちゃ年下……」
そう返しながら、私はふと思った。
あれ?
そういえば、鷹見って何歳なんだろ。
なんか、年齢不詳っていうか……
年下と言われればそう見えるし、年上と言われれば……
「甘井さーん?」
海野さんの声で、私は我に返った。
「あ!うん、なんか前に上村さんに会った事あったみたい、実は」
私がそう言うと、病室内は一気に色めき立った。
「え!?そうなの?運命の再会じゃん甘井さん!」
「もう付き合うしかないでしょ、それ!」
う、うーん……
ちょっと、みんなの発想が突飛すぎてアレだなぁ……
「ちょっと、外行ってくるね……」
私は、上村さんの話題から逃げるように病室を出た。