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たまのケージ【ヒロアカ】

第15章 本当はね(ホークス)


「へっ?たかみ?」
「俺、鷹見です。……アナタは?」
「あ、えと……甘井繭莉……です」
遅めの自己紹介を済ませると、鷹見さんはやっぱり夜空から視線を外す事のないまま「そうですか」と言った。
何故そんなに空に釘付けなのかよく分からなくて、つい尋ねてしまった。
「あのぅ……空ばっか見て、なんかあります?」
「え?ないっスよ、何も……ただ、」
「……?」
「飛んだら、気持ちよさそうだなって思ってます」

 と、飛ぶだと!?

 自殺志願者!?ヤベぇぞ、なんか!

「あの、鷹見さん!入院してて気が滅入るの、なんとなく分かりますけど、飛ぶって……えっと……なんだ……」
私が勝手に鷹見さんが自殺志願者と決め込んであたふたしていると、彼はプッと吹き出した。
「はは、飛ぶってそういう意味じゃないですよ」
「……は……いや……すみません……」
すっかり勘違いをしていた自分が恥ずかしくなって私は俯いた。
「空飛べる個性とか、欲しくなりますね。……たまに」
そう言って、また夜空を見上げる鷹見さんの横顔がなんでか分からないけれどどこか寂しそうだと感じてしまった。

「なんでそんなに寂しそうなんですか?」

つい、聞いてはいけないかもしれない事を聞いてしまっていた。

「え」
鷹見さんは、目を見開いて私の方を見た。

 しまったぁぁ!

 なんか、過去に苦い思い出でもあったんかもしれないじゃん!

 聞くんじゃなかった……!

私が心の中で死ぬ程後悔していると、鷹見さんは窓を閉めながらぽつりと言った。
「そうっスねぇ……寂しいかも、しれないですね」
「……え……」
「慰めてくれます?甘井さん」
そう言って二ッと笑った鷹見さんを見て、私はさっき少しでもコイツが寂しそうとか思ってしまった事を馬鹿らしいと感じてしまった。

 ……ほう……

 このヒト、いっつもそんな言動して女でも引っかけてんのかな……

 なーんか、軽いっつうかワンチャン狙いっぽいっつうか……

「いや、他当たって下さい……私、この通りなんで」
点滴の繋がれた左腕を見せながら言うと、鷹見さんは私の点滴スタンドを右手で掴んだ。
「そんなでも、出来る事あるでしょ」
ずいっと至近距離まで顔を近づけられて、顔を逸らそうと思った時にはもう遅かった。

 「っ!」

私の唇は、鷹見さんにあっさり奪われていた。
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