第14章 可哀想な2人(相澤消太)
「彼女じゃなかったらそんな態度していいと思ってんのか」
「なに急に!気持ち悪っ!」
「な!きも……っ!?」
普段なら、こんなこっ恥ずかしい事はしないであろう消太のある意味貴重な痴態を見せられて教師達は笑いを堪えるので精いっぱいだった。
「プッ……相澤くん、余裕ないのね」
「いつも冷静な相澤くんが……」
その様子を見かねた根津校長が、仕方なく消太に声をかけた。
「相澤くん」
「っ!」
根津に名前を呼ばれた事で、ここが職員室だったと思い出す。
消太は、さっと自分の身体から血の気が引くのを感じた。
しまった……やらかした。
「ここで喧嘩は良くないのさ。他所でやってくれるかい?」
「いや、あの」
急に恥ずかしさが押し寄せてきて言葉に詰まった消太の手の力が少し緩んだ所を狙って、繭莉がその手を振り払う。
そして、逃げるように職員室を出て行った。
くそ、アイツ逃げやがった!
消太は、恥も外聞もかなぐり捨てて繭莉を追いかけるように職員室を飛び出した。
「おい、待てお前!」
「っ!なんでこっち来んの!?」
顔だけ振り返って焦りながら逃げ続ける繭莉を追いかける消太。
そこはプロヒーローで男の足だ。
あっさり追いつくと繭莉の腕を掴む。
「はぁ……っ、お前、どういうつもりなんだ」
走った事で息を上げて肩を上下させる彼女は、ばつが悪そうにそっぽを向いた。
「どういうつもりだって聞いてるんだ」
「……そんなの……」
繭莉が、ムッと頬を膨らませた。
「相澤さんだって、どういうつもりですか……」
は……
俺?俺か?
どうって、俺は……
「どういうつもりで、私とえっちしたんですか?」
「っ!」
なんともあけすけな質問をされて消太は言葉に詰まった。
最初は勢いだった……気がする。
だけど、2度目はどうだろう。
確かにあの時、思ってしまったのだ。
繭莉が、好きだと。
「……だから、言ったろあの時」
「……へぇっ……?」
こちらを向いてきょとんとする繭莉を見て、消太はイラっとした。
コイツ……やっぱり聞いてなかったか……
同じ事を2度も言わされんの、ムカつくんだよ。
……仕方ない……
「言ったっつってんだろ……好きだって」