第14章 可哀想な2人(相澤消太)
繭莉は消太の告白を聞いて、どんどんその顔を赤く染めていく。
「……ほ……え……」
「お前はどうなんだ」
ぐっと顔を近づけると僅かに後ずさりされる。
「なに逃げてんだよ」
「別に私は関係者でもなんでもないからいいですけど……ここ、学校ですよ相澤さん」
「は……!」
その一言で、消太は我に返った。
自分は学校でなんという痴態を晒していたのか。
正直、放課後で生徒達がほとんどはけていたのは不幸中の幸いだったかもしれない。
「……」
恥ずかしさで何も言えなくなってしまった消太を見て繭莉が堪え切れずにあははと笑った。
「ホント、相澤さんってばかなんだから!」
好みの顔の、可愛い笑顔。
おい、馬鹿にすんなよ。
ああ……いや……
コイツの前じゃ俺はただの馬鹿だった。
ついに諦めの境地に至った消太は、掴んでいた腕をぐっと引いた。
「ちょっとついて来い」
校内であんなあけすけな押し問答をするのもよくよく考えたら恥ずかしかったので、繭莉を教師寮の自分の部屋に連れてきていた。
消太にされるがままついて来た繭莉は、ドアに背を預けてずっと下を向いている。
なんとか自分の方を向かせたくて顎を掴んでぐいっと上を向かせる。
「ちょっ……!」
「ここはもう学校でもなんでもない。……聞かせて貰おうか、お前はどうなんだ?」
そう聞くと、気まずそうに視線を逸らすので余計にこっち向けよとか思ってしまう。
「……き……」
「は?」
よく聞こえなくて聞き返すと、真っ赤な顔をした繭莉がキレ気味に言った。
「もう!好きだってば!ばか、相澤さんのばか!」
なんでキレてんだよ。
……
好きって……
「私もう帰ります!仕事ある、し!?」
このまま離したくなくて、気付けば回れ右をしようとする繭莉を抱きしめていた。
「……あ、相澤さ……」
「帰んなよ」
「……っ……」
自分の腕の中にすっぽり収まった彼女があんまり可愛い顔で見上げてくるもんだから、どうにかしてやりたくなる。
引けていた腰をぐっと抱き寄せると、繭莉は耳まで真っ赤にする始末だ。
「あ、あの……」
「なんだよ」
「あっ……当たってる、んですけど……?」
そりゃ、好きな女に好きだと言われてこんなに密着した日にはそうなるってもんだ。