第14章 可哀想な2人(相澤消太)
「ホントもうっ、相澤さんのばか……」
おい、ちょっと待て。
なんで俺がそう何度も馬鹿呼ばわりされなきゃならないんだ?
しかも遊ん……
どういう事だコイツ!
「お、おま……」
「言っときますけど」
繭莉が消太に視線を移した。
「私は相澤さんの彼女でもなんでもないんで!」
そう言ってぷいっと顔を逸らすとそそくさとベッドから立ち上がった。
「さっ、仕事仕事!」
バタンと部屋のドアが閉められて、消太は1人部屋に残された。
……な……
どういう感情でものを言ってんだ、今のは……?
女って……
……分からん……
「……はぁ……なんなんだよ……」
消太は、頭を抱えて呟いた。
それから、数週間。
「最近あのおねーさん、見かけなくない?」
「あー……あの幸薄そうな?見ない見ない」
朝、登校してくる生徒の会話が聞こえて確かにと思った。
最近、繭莉を見かけていない。
最初は避けられているのかと思っていたが生徒だってああ言うのだ。
きっと、もう雄英には来ていないのだろう。
仕事が軌道に乗ってそうなったのならそれでいい。
しかし、最後の会話があんな感じになるとは消太も思っていなかったので微妙な気持ちになってしまう。
こんな事になるなら、もっとちゃんと好きだと言えばよかったのだろうか。
そんな事を思った所で後の祭りだ。
もうどうにもならないというのを消太は理解していた。
仕事に徹しよう。
そうすりゃこの気も紛れんだろ。
そうは思っても、どうにも仕事も手に着かない。
頭の中が繭莉で大渋滞を起こしていた。
アイツ、大丈夫か?
また詐欺にでも遭ってたら……
そもそも、あのドラマって本物の企画なのか?
詐欺なんじゃ……
いや、俺がそんな事考えても……
……
……自分が気持ち悪い……
「……はぁ……」
消太は、溜息を吐いた。
この、自分が自分ではない奇妙な感じ。確かに気持ち悪い。
「あ、うっそーこれさぁ……!」
背後から生徒達の声が聞こえて振り返ると、堂々と歩きスマホをしている。
「お前ら、歩きスマホすんな」
注意すると、生徒達が消太とスマホを交互に見て顔を見合わせている。
「なんだ、どうした」
「いや、この動画見て下さいよ相澤先生」
……動画……?