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たまのケージ【ヒロアカ】

第14章 可哀想な2人(相澤消太)


この間から面倒な事ばかり押し付けられて若干げんなりしたが、根津校長の言う事なので仕方ない。
「分かりました……行くぞ」
そう言って歩き出すと、繭莉はその場に根津を降ろして「頼んだよ」と手を振る彼に手を振り返しながら早足で消太について来た。
「4万と残業代……根津校長、ありがたや……」
もう、そんなに貰ったら光熱費どころか今月の家賃も楽々払えるんじゃないかと思いながら歩いていると、教師寮が目前にあった。
「根津校長が言ってんのは入った所の廊下だろ。じゃあな」
道案内の目的は果たしたので、もう関係ないと踵を返そうとした時、手をがしっと掴まれた。

「ありがとうございます、相澤さん」

そう言って、繭莉が微笑んだ。

好みの顔に微笑みかけられて、お礼を言われる。
 
マジで悪い気はしない。
悪い気はしないどころか、その掴まれた手を思い切り引いて抱き寄せたらどんな顔をされるのだろうか。

 ……いや、どんな顔っつうかしないだろ、そんな事。

 しない、しない……しな……
 
「相澤さん?」

ちょっとした妄想をしていた所に下から顔を覗き込まれる。

「どうしました?」

 別に、俺はコイツの事を何とも思ってない。と、思う。

 いや……

 と思うっていう事は、なんか思ってんのか?

 なんかって何だよ。

 ……

 下から覗き込むなよ、可愛いから。

 な……可愛いって……

ついにに繭莉が可愛いと自分の中で確実に思ってしまって、どんだけ自分は簡単な男なのかと少し絶望した。
だけど、認めてしまえば後は少しは気が楽になる。
消太は、掴まれていた手をグイッと引っ張ると、繭莉を抱きしめた。

「っあの、え……?」
消太の腕の中で明らかに動揺する繭莉は、自分の腕の置き所が分からなくなってしまって腕をぱたぱたと上下に動かした。
「あああの!どうし、え、ええぇなんで」
「お前もう喋んな」
そう言うと、ぐっと口を閉じたのでそれをいい事に鼻先が触れ合う位顔をぐっと近づけた。
「あ、相澤さ、」
彼女がその続きを言う事はなかった。

その唇は、消太の唇で塞がれていたから。

「っ!……っ……」

繭莉は、そっと目を閉じた。
そして、宙に浮いていた腕をそっと消太の背中に回す。

暫く、唇を重ねたまま抱き合ってしまった。
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