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たまのケージ【ヒロアカ】

第14章 可哀想な2人(相澤消太)


それから、数日が経った。

生徒達の間では、何やら1つの話題が持ち上がっていた。
それは……。

「なんだか可愛い女の人がたまーに校内の掃除をしているらしい」

という、なんともまぁ高校生らしい話題だ。

「なんかさ、落ち葉集めてリヤカー引いてる姿が小公女って感じ?」
「小公女って……でも、なんとなく分かるわ。薄幸の美女って感じだよな」
「幸せにしてやりてぇ……」
「おいしいもんとか、腹いっぱい食わしてやりてぇわ……」

ある日の朝、そんな会話をすれ違いざまに聞いて、消太は思った。

 こいつら、アイツにそんな事思ってんのか。

 薄幸っていうのは……まぁ認めるが。

 それにしても、年下にまでこう同情されるとは……

消太は、繭莉と知り合いでもましてやヤりましたともいう事を誰にも言わなかったが、どういう訳か彼女を気にしているという事は、唯一プレゼント・マイクにはバレていた。

「相澤お前、ホントああいう顔好きだよな!」
 
ある日、唐突にそう言われてしまった。

 なんだ、山田アイツ、俺がそんな簡単な男だと思ってやがんのか?

 ……いや、簡単なのか、マジで……?

そんな事を悶々と考えながら放課後の校内を歩いていると今日は午後出勤なのか、繭莉が地面の落ち葉を掃き集めているのが見えた。

しかも、何やら独り言を言っている気もする。

おかしなヤツと思いながらまた歩き出した時、それが独り言ではない事に気付いた。

彼女の手には、分厚い本のようなものがあった。

それを見ながら何やらぶつぶつと言いつつ箒を動かしている。
きっと、それは決まったドラマの台本なのだろう。

「あなたの事、私は忘れた事なかった」

台詞と思しき言葉を言いながら、塵取りに落ち葉を入れていく。

消太は、その真剣な表情に息を飲んで繭莉を見ていた。

また新しい彼女を垣間見た事で、心臓がうるさく音を立てる。
 
 アイツ、あんなも顔すんのか。

もう、惚れてしまったと自分で認めればいいのにいまだにそれが出来ずに手をギュッと握ってただ彼女に見惚れてしまっていた。 

「だから……あっ、おにいさん!こんにちは!」
消太に気付いた繭莉が真面目な顔から一転、笑顔でぶんぶんと手を振った。

間の抜けたその声の所為で、消太は現実に引き戻された。
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