第14章 可哀想な2人(相澤消太)
そして、スウェットを完璧に脱ぎ去った繭莉が消太に抱きついて来た。
酒と女の甘い匂いが混ざってふんわりと鼻孔を掠める。
おい。
おいおいおい。
コイツ、不幸続きでおかしくなってんのか?
初対面の名前も知らない男に抱きつくか?普通。
そうは思うが、理性なんか吹っ飛んだ上に抱きつかれて悪い気はしないのも事実だ。
このままいけば、ワンナイトは確実な気もする。
まぁ……仕方ない。
酒だ、酒の所為だ。俺の所為じゃない。
酒に全て責任転嫁して、ブラジャーのホックに手を伸ばしたその時だった。
「……すぅ……」
繭莉の口から、寝息が聞こえ始めた。
ま、また寝やがった、コイツ……
もう、潔く寝るか起きるかどっちかにして欲しい。
「はぁ……ったく……」
再び繭莉を横たわらせて、ベッドから降りようとしながらちらりと振り返ると、何とも気持ちよさそうに眠っているのでつられてこっちまで眠くなってくる。
や、ヤバい……
本格的に眠くなってきた……
帰れるか?この状態で……
帰れ……眠……
……う……
消太の意識はそこでぷっつりと切れた。
「……はっ」
窓から差し込む光で消太は目を覚ました。
どうやら、昨日あのまま寝落ちしてしまったらしい。年甲斐もなく。
……今日、月曜日か……
学校、学校が……
二日酔いと思われる頭痛と戦いながら体を起こす。
「……んー……」
繭莉の声がしたので、起きたのかと思って見てみるとまだ夢の中らしく、すぅすぅと眠っていた。
下着姿で。
そ、そうだった……。
昨日、うっかり彼女とヤりかけた事を思い出してしまう。
思い出した上に下着姿まで見せられた日にはもう、こんな爽やかな朝に似つかわしくないエロい妄想で頭の中が埋め尽くされていく。
いや、待て。
なんでそうなる?
なん……
自分にそう言い聞かせるが、視線は繭莉に釘付けだ。
触ったら気持ちよさそうな、白くてツヤツヤな肌。
平均的だけど柔らかそうな胸。
そして何より好みの顔。
そんなのが、横で気持ちよさそうにすよすよ眠っている。
……しまった……
男子高校生かと自分にツッコミを入れたくなった。
いつの間にか、勃起していたのだ。