• テキストサイズ

The usual one【ヒロアカ中心】

第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)


 顔を見ると、左右半々で違う色の髪。

 それにしても、中々のイケメンだ。

 「な、何で……」
 「いや、俺、もう食ったし。アンタが買おうと思ってのかと、思って」

 イケメン、優しいなぁ。
 
 「ありがとうございます。けど、それ、君のだしいいですよ。私の事は、気にしないで」

 私はつい、営業スマイルでそう言ってしまった。

 すると、イケメンは首を傾げてこう、言った。


 「何が楽しくて、笑ってんだ?」


 私は、はっとした。

 確かに、何が楽しくて毎晩毎晩笑っているんだろう。

 「無理しねぇ方がいい」

 そう言いながら、私の手にドーナツを握らせた。

 「……あ……」

 「あ、轟くん!どうしたの?知り合い?」

 お友達と思われるコが、駆け寄ってきた。

 「……いや」

 イケメンは、私にスンと背を向けて去って行った。

 
 轟くん。


 「……不思議なコ……」

 私は、これから公園に通い詰めてしまうかもしれないと思ってしまった瞬間だった。


 それが、私と轟焦凍の出会いだった。



 「はぁっ、落ち着かないなぁ……」

 彼との出会いを思い出していた私は、急にそわそわし出してしまった。

 だって、こんなの結婚相手に失礼じゃない。

 「誰も、来ない。静かだなぁ」

 テーブルに頬杖をついて、結婚相手に悪いと思いつつまた思い出の整理を始めた。



 初めて告白された日の事もよく覚えてる。


 あれは、いつかのpm4:30。

 私がいつものように公園のベンチに腰掛けていると、いつぞやのイケメンが1人で歩いているのが見えた。
 今日はお友達と一緒じゃないんだろうか?

 あ、それより、こないだのドーナツのお金、渡さないと。

 「あの、きみ!」

 勇気を出して、イケメンの元に駆け寄った。

 「あ、」

 振り向いたイケメンは、まるで探し物を見つけた子供みたいな表情を見せた。

 「こないだ、ありがとうございました。これ、お金」

 そう言ってお金を差し出すと、無言でイケメンはそれを受け取った。

 次の瞬間だった。

 いきなり、手をギュッと握られた。

 「ここに来たら、もしかしたらまたアンタに会えるんじゃねぇかと、思って」

 正直、吃驚した。

 「何でか分かんねぇけど、また会いたかった」

 心臓が、早鐘を打った。
/ 152ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp