第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「もしさぁ、この先一線超えたりして、それが何かの間違いで誰かにバレたら2人とも終わりだよ?……特に、先生の方は。法に触れるからね」
法に触れる。
それでも私を手に入れようとした麻倉先生は、今どんな気持ちなんだろうか。
……分からないけど……
「先生だって、きっとそれぐらい分かってると思う……」
そう言うと、紗綾は私の肩をぽんと叩いた。
「まっ、何かあったらいつでも言いな?私は繭莉の味方だからね!」
「……ありがと……」
「さっ、帰ろ!」
私達は、一緒にお店を出た。
歩いていると、駐車場の入り口で立っている人を発見した。
「あの、もう営業終了しましたけど」
紗綾がその人に話しかけると、「あ、」と言って振り向いた。
「先生……」
その人は、麻倉先生だった。
顔を見るまで気付かないなんて、ちょっと失礼だった……
「繭莉、夜危ないから迎えに来た」
「……いいのに」
紗綾は、私と先生を交互に見た後にこっと笑った。
「繭莉、またね」
ひらひらと手を振って、歩いて行った紗綾を見送った後、私達は先生の車に乗り込んだ。
「あの、慣れてるんでもう迎えに来なくても大丈夫です」
「そう?でも、心配だな」
「……」
私が何も返事をしなかった事で、しんと車内は静まり返った。
それでも、車はどんどん先へと走っていく。
やがて、私の住んでいるアパートが目視できた。
けど、その前の曲がり角を車は曲がった。
「せ、先生あの……」
「俺んち、来てよ。……お兄さん、今日も遅いんだろ?」
も、もしかして……
私は、彼の家に行った後の事を考えてしまってぞっとした。
夜道よりも、彼の家の方が危ないんじゃないか?
そう思ったけど、仮にも私達は付き合っているのだ。
そんな事が起きても、おかしくはない。
けど、いいんだろうか……それで。
そんな事をつらつらと考えている内に、車は先生の家の前で止まってしまった。
車のエンジンを切った先生が、私の方を見た。
「行こうか」
「……はい」
私は、そう返事をするしかなかった。
先生は軽い足取りで、私は重い足取りで、きっとお互い全く違う事を考えながら階段を上る。
着いて欲しくないのに、ドアの前で先生の足が止まった。