第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「笑わないで、聞いてくれるか?」
「……はい……?」
私が疑問に思いながら頷くと、麻倉先生は椅子からがたんと立ち上がった。
「甘井……俺、好きなんだ……君の事が」
「……はい……?」
「甘井さえ、よかったら俺と付き合ってくれないか?」
私は、一瞬で先生に嫌悪感を感じた。
なに、この人。
教師が生徒に手、出そうとするなんて……
そりゃ、教師だって1人の人間だ。
生徒に恋愛感情を持ってしまってもおかしくない。
けど……
それを、堂々と本人に言っていいもんじゃない。
なのに、この人は軽々と言って……
じゃあ、相澤さんだって、私を選ぶにしろ選ばないにしろこの人みたいに言ってもよかったんじゃない?
なんで、こんなどうでもいい人に……
「……うっ……」
考えすぎで少し吐き気を催して、私はその場に蹲った。
「甘井?大丈……」
私は、差し出された手をはしっと握った。
「大丈夫です」
そして、笑いたくも無いのに笑顔を作った。
「私も……好きです、先生の事」
言いたくも無いのに、そんな事を口走った。
誰でもよかった。
この、誰にも言えないどうしようもない気持ちを埋めてくれるなら。
その相手が、偶々先生だっただけだ。
やっぱり、私は子供だった。
次の日。
「ええっ!?どーいう事!?」
閉店後、お店のバックヤードで麻倉先生と付き合う事にしたと報告すると、紗綾は心底驚いた顔をした。
「ちょ、繭莉いいの?自暴自棄になってない?」
「……だって、忘れるって、決めたから」
すると、紗綾は溜息を吐いた。
「いや、ゴメン。見返そって言った私もアレだけど……なんか、心配……」
「いいの!もし合わなかったらまた次!何でもトライアンドエラーだよ」
そう言うと、紗綾は私の肩を掴んでガクガクと揺らした。
「繭莉ー!ホンっと心配!もぉ……相澤……アイツの所為だ……っ……!」
ちがう、紗綾。
私の所為だよ、きっと全部。
「うー……もぉしょうがないや……付き合っちゃったもんは……で、学校のセンセイなんでしょ?」
「うん」
「バレないようにコソコソ付き合わなきゃいけないじゃない?大丈夫?」
「……うん、大丈夫」