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たまのケージ【ヒロアカ】

第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)


 「……あれ?」
 先生が、上着のポケットをポンポンと叩きながら怪訝な顔をした。
 「どうしました?」
 「いや、車に家の鍵置いて来たかも……ちょっと、ここで待ってて」
 そう言って先生は元来た道を歩き出した。
 ドアをぼんやり眺めていると、先生が誰かと会話しているのが聞こえた。
 「あ、こんばんは」
 「どうも」

 聞き覚えのある声に、はっとして振り向いた。

 「……あ」

 そこに居たのは、相澤さんだった。

 麻倉先生は、相澤さんとすれ違った後で私がどれだけ吃驚しているかなんて気付いてもいない。
 そのまま、階段を下りて行ってしまった。

 相澤さんは、階段の方を見た後、私に視線を移した。

 そして、何も言わずに自分の部屋のドアの鍵穴に鍵を差し込んだ。


 何も、言えなかった。


 付き合ってるって気づかれた?

 相澤さんは、麻倉先生が教師だと知っているんだろうか。

 もし、知っていたら……


 ぱたんと、相澤さんの部屋のドアが閉まった。


 私、忘れようと思ったんじゃなかったっけ?
 なんで、気まずいとか思っちゃってるんだろう。

 ホント……救いようがない。

 「繭莉ごめん、お待たせ」
 先生の言葉に振り向いた私を見て、彼は吃驚した顔になった。
 「なんで、泣いてるの?」
 また、いつの間にか泣いていたみたいだ。
 「何でも、ないです……」
 手の甲で涙を拭うけれど、後から後から涙が出てしまって止まらない。
 「私っ……帰る……!」
 こんな状態で先生の家になんか入りたくなくて、私は歩き出そうとした。
 でも、それは叶わなかった。

 麻倉先生に、抱きすくめられていたから。

 「は、離して!」
 「離さない」

 放して欲しいと思えば思う程、きつく抱きしめられてもうどうすればいいのか分からない。

 「繭莉、取り敢えず家入って」
 「……入らない」
 「入れって!」

 いきなり語気を荒げられて、私はビクっと固まった。
 それに気付いた先生が、私から身体を離すと今度は腕を引っ張った。

 「い、いや!お願い、離して!」
 私が腕を振り払おうと抵抗すると、先生は私の身体をドンとドアに押し付けた。
 「言う事聞けよ!」
 「やっ、やだ!」

 私が先生の胸を力一杯押そうとしたその時、隣の部屋のドアがガチャっと開いた。
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