第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「レシート、ご利用になりますか?」
「いえ」
「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしています」
私がぺこりとお辞儀をすると、目の前にチョコレートを差し出された。
「……?」
不思議に思ってお兄さんを見るけど、イマイチ何を考えてるか分からない。
「あげます」
「……え……?」
思わず、チョコレートを受け取ってしまう。
すると、お兄さんは何も言わずに店を出て行ってしまった。
なんで、くれたんだろう……?
チョコレートの箱をカタカタ揺らしながら考えていると、値札の差し替えから帰って来た紗綾が「なに、それ?」と言った。
「賞味期限切れでも、見つかった?」
「いつものお兄さんに、貰った」
そう言うと、紗綾は「うっそ!」と驚いた表情を見せた。
「マジで?もしかしてあの人、繭莉に気でもあるんじゃない?」
「いや、そんな……だって私、高校生だし……ああいう大人からしたら、守備範囲外っていうか」
すると、紗綾は私の顔をずいっと覗き込んだ。
「繭莉、大人っぽいからどうだろうね?私、最初会った時同い年かと思ったもん。高校生には見えないなぁ……勘違い、してるかもよ?」
それはそれで……老けてるって事?……って、思っちゃう……
「うーん……」
と、唸りながらチョコレートの箱に視線を落とす。
あのひと、どういうつもりなんだろう。
もし、紗綾の言う通りだったら……?
だとしたら、相当嬉しいけど……
「次、会ったら何かお返ししないと」
「お返しっていうかさぁ、もう告っちゃえば?いっその事」
そんな無理難題を言われて、私はぶんぶんと首を横に振った。
「無理、無理むり!私なんかに告白されても、困るだけだよ!」
「……繭莉って、ホンっと自分を下げるよね……自信持ったらいいのに」
自信……そんなの全然ない。
それに、初恋は実らないってよく、聞くし。
「いいの、定期的に会えるだけでなんか嬉しいから」
「ふぅん……欲がないなぁ」
結局閉店時間まで、こんな会話が続いたのだった。
次の日。
どっさり届いた荷物の中に、あの見慣れたパウチの栄養ドリンクなのかゼリー飲料なのか的なものを見つけた。
早く、並べといてあげよ。
昨日言ったから今日、来てくれるかも。