第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「ううん、いいや!」
お兄さんだって、彼女とか……もしかしたら、結婚してるかも、しんないし……
「いいのぉ?遠くから見てるだけで十分、的なあれ?」
「そういうワケでも……」
私がそう言うと、紗綾は「ふぅん」と言ってまたレジ金を数え始めた。
「そんなんじゃ、ご飯作ってあげるなんて夢のまた夢だよ」
「……別に、それは……」
「ま、いいや。早く閉店準備して、帰ろ!」
紗綾に促されて、私も閉店の為の片づけを始めた。
別に、お兄さんとどうこうなりたいワケでも……ちょっとは、ある。
けど、どんな人かも知らないし……
棚ぼたで、知れたらいいなぁ位の気持ちなのだ。
次、来るのは一週間後くらいかな……?
それを楽しみに、日々を頑張るしかなかった。
そして、一週間後。
「すみません」
私が、お店で陳列作業をしていると、後ろから声を掛けられた。
「いらっしゃいませ、どうかされましたか?」
振り返ると、そこにはいつものお兄さんが立っていた。
「あの、いつもここにある……」
お兄さんがそこまで言いかけた所で、あの栄養ドリンクっていうかゼリー飲料的なものが売り切れている事を思い出した。
あ……確か……
「恐らくなんですけど、明日入荷する予定だったかと思います」
「そうですか」
「お急ぎでしたか?」
「……いや」
そう言うと、お兄さんは私に背を向けて行ってしまった。
……会話、しちゃった……!
声、初めて聞いたかも……なんか、低くて……イケボ……?
会話をした。
それだけで、ちょっと舞い上がってしまう。
別にいいじゃん、高校生だもん……そんな純な事で舞い上がったって……
止まっていた陳列作業を再開すると、レジから従業員を呼ぶブザーが鳴った。
「はい、今行きます……っと……」
私は、立ち上がってレジへと向かった。
「商品お預かりしま……」
そう言いかけて、私は一瞬固まった。
あのお兄さんが、チョコレートを買っていたのだ。
お兄さんとチョコレート……なんか、ミスマッチっていうか……いつも同じものしか買わないからそう思うのかな……?
「……230円になります」
そう言うと、ぴったり230円を渡される。