第11章 スターと恋(轟焦凍)
何だ?これ。
数字……暗号?ンなワケねぇか……
結局、分からずじまいのまま目的地に着いてしまったので電車を降りた。
「ただいま」
玄関をガラガラと開けると、そこには珍しく夏雄の姿があった。
「夏兄」
「お、焦凍……ん?何持ってんだ?」
手の中の紙を指摘されて、焦凍はそれを夏雄に見せた。
「これ……どういう意味か分かる?」
「意味って?……これ……携帯の番号じゃないか?何だぁ焦凍、ナンパでもされたのか?」
うりうりと肘で脇腹をつつかれる。
携帯の番号?
あ……
『今度は、よかったらしょーとくんが話して』
繭莉の言葉が蘇って、合点がいった。
また、話したいって事だったのか。
「誰に渡されたんだ?」
「……繭莉」
「繭莉って……オイ、まさかとは思うけど、甘井繭莉?」
「そう、だけど……」
素直にそう答えると、夏雄が驚いた顔をした。
「っへー、繭莉ってそんな事すんだな」
世間では、甘井繭莉とはどんな人物像で通っているのだろうか。
焦凍の中では、先程会った繭莉が全てだ。
どこか不思議で、ちょっとフランクな印象だった。
「何か、そういうのには奥手っていうか」
「そういうの?」
「恋愛だよ。いきなり初見の相手にそんな事しねーだろって、思ってた」
そうなのか。
確かに、繭莉の見た目は清純な感じだった。
夏雄がそう思ってしまうのも頷ける。
しかし、人というのは見た目で判断してはいけない。
焦凍は、渡された紙切れを見て思った。
繭莉の事、何も知らねぇな、俺。
何故か、知りたいと思ってしまった。
「夏兄、俺……」
「ん?気になんなら電話、してみれば?」
「……うん」
夏雄とはそこで別れて、自分の部屋に入る。
適当に座り込むと、スマホを取り出して一息ついた。
マジで、かけちまったら何か話すしかなくなんな。
何話せば……いや、考えてもしょうがねぇ。
紙切れに書かれた番号を入力して、通話ボタンをタップする。
呼び出し音が聞こえて、何故か心臓の音が早くなっていく。
『はい』
出た……!
「繭莉、あの、」
『あ……焦凍くん?』