第11章 スターと恋(轟焦凍)
『えー嬉しい!かけてくれてありがと』
「……いや、」
電話の向こうの繭莉はどんな顔をしているのだろうか。
嬉しそうな顔?
それとも、マジでかけてきやがったみたいな驚きの顔?
「何で、俺に番号渡したんだ?」
いきなり核心に迫る質問をしてしまった。
『ん?焦凍くんと、話したかったから……かな』
ストレートにそう答えられて、どう返せばいいのか分からなくなった。
これは、何かを期待していいのか社交辞令と受け取ればいいのか。
『焦凍くん、何でかけてきてくれたの?』
そう聞かれて、答えに困ってしまった。
さっき思った通り繭莉の事が知りたかったとストレートに言えばいいのだけど、どんな顔をされるかと思うと中々言えない。
しかし、言わなければ伝わらない。
「何でか分かんねぇけど……繭莉の事、知りたかった」
意を決して素直にそう言うと、『そっか』と返される。
『何か、嬉しいなぁ……焦凍くんも、そう思ってくれたんだ』
え……
も?
もって事は……もしかして……
『私も知りたかった、焦凍くんの事。……何でだろうね、あの一瞬でそう思っちゃった』
繭莉も素直にそう言ってくるもんだから、何か色々期待してしまう。
『焦凍くん、夜空いてる?』
「え」
『これから仕事なんだけど、夜には終わるから……その、』
そこまで言った繭莉の声が、少し先程とは違うような気がした。
『会って、話したい……』
ギリギリ聞き取れる位の小さな声で言われて、彼女も緊張しているのが分かると、自分と同じじゃないかと安堵した。
「何時にどこ行けばいい?」
『20時に、駅前にいて。……探すから』
「……分かった」
通話を切って、今度は大きく息を吐いた。
会いたい……って……
繭莉が、俺に……?
今の会話が、夢なんじゃないかと一瞬疑ったが、紛れもない現実だ。
「あと3時間か」
壁に掛かった時計を見て、独り言を呟いた。
繭莉に、会える。
そう思うと何故か嬉しい。
この感情は、何なんだろうか。
それが恋だという事に気付くまで、あと3時間を切っていた。