第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)
ざっと先程の出久との電話での会話を話すと、意外にも繭莉はあっさり許可してくれた。
何故?と聞きたかったが彼女にも色々事情があるのだろう。
許可してくれたなら、他の人間を探す必要もない。
結構、デクの依頼も楽勝だったな。
しかし、楽勝な事程後々面倒になるという事を、この時の勝己は知らなかった。
数日後。
出久に呼び出されて勝己は雄英に来ていた。
しかし、連れてきて欲しいと頼まれて、今は勝己の後ろを歩く繭莉の様子がどこかおかしい。
何かを探しているような……何なのかは分からないが少しそわそわしているように見える。
「何キョドってんだ」
「えっ!いえ……何でもない、です……すみません……」
何でもないようには見えないが、まぁ本人が言うなら何でもないのだろう……という事にしておいた。
校舎の中に入ると、向こうから出久が歩いてくるのが見えた。
「あ!かっちゃん!来てくれてありがとう!」
出久が無垢な笑顔で駆け寄ってくる。
そして、勝己の後ろにいた繭莉に視線を移す。
「えっと、そちらの方が……?」
「あ、えっと……甘井です、よろしくお願いします……」
出久に深々とお辞儀をする繭莉。
自己紹介だけでもそこはかとなく自信の無さを感じられる。
「こちらこそよろしく、緑谷です!今日は、色々話を聞きたくて」
そう言いながら、職員室の扉を開けた。
「相澤先生、かっちゃん達来ました」
出久が入り口で自分のデスクに居た相澤に声をかける。
何だぁ?
相澤先生もこの話に一枚噛んでんのか。
「お、爆豪来たか」
相澤がこちらに歩いて来ると、何故か繭莉が後ずさりをし始めた。
しまいには勝己の上着の裾をぎゅっと掴む始末だ。
おいおい。
ンなビビんなくたっていいだろ。
誰も取って食ったりしやしねぇよ。
「……イレイザー・ヘッド……」
消え入りそうな呟きに後ろを振り向くと、声の主は顔を赤く染めていた。
あぁ?
意味分かんね。
コイツ何、赤くなっとんだ。
「爆豪、後ろの彼女が例の自信の無い人間か?」
そう言いながら相澤がひょいっと勝己の後ろを覗き込むと、繭莉が「ひゃっ」と小さな悲鳴を上げた。
「……?」
相澤の頭に、疑問符が浮かぶ。