第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)
「教育、とは?学校じゃあるまいし」
ジーニストがちらりと繭莉を見た。
「こんなんでビビり倒して、碌なヒーロー活動してねぇんじゃ……」
「誰もがそういうのに耐性があるわけでもないからな」
ジーパンお前ちょっと、甘やかしすぎなんじゃねぇの?
俺の時なんか、もっとスパルタだった気ィ、するけど。
何故かここの事務所の人間は皆繭莉に甘い。
そうしたくなるのがまぁ、彼女の魅力でもある気がするのも分かるが。
「お前よぉ、ホントにヒーローで飯食ってこうと思っとんのか?」
少し彼女の行く末が心配になって、そう尋ねた。
すると、それまでいそいそと傷の手当てをしていた手がぴたりと止まる。
「そ、それは……そう出来たら、いいですけど……」
いまいちスッキリしない返事だ。
ったく、そんなんで大丈夫なんか?コイツ……いまいち向上心に欠けるっつうか、何つうか……
「そうかよ。……っと」
勝己のポケットの中のスマホが震えた。
手当されていない右手でそれを手に取ると、液晶に映っていた名前は、出久だった。
「何だァ、デク」
『あ!かっちゃん、今大丈夫かな?』
「まぁ、大丈夫っちゃあ、大丈夫だ」
『あのさ……かっちゃんの周りに、自信なさそうな人、居ないかな?』
自信の無さそうな?
目の前に丁度良く、いるけどな。
ちらりと繭莉に目をやるが、それに気付いていないのか下を向いて包帯を巻いている。
「何でだよ」
『うん……今度生徒達とコミュニケーションについてちょっとした授業みたいなの、しようと思うんだけど……自信のない人との接し方みたいなのも教えといた方がいいかなと思って』
「ンなの必要かぁ?」
『んー……今の時代、必要な時もあるんじゃないかな?あ、かっちゃんも一緒に来てもらえると助かるよ!』
「……こないだのコミュニケーション概論の時みたく、悪例で呼ばれんじゃないだろな」
『あはは……』
「……わぁったよ、何とかするわ」
『ありがとう、よろしくね!』
通話を切りつつ、もう一度繭莉を見ると漸く気付いたのかこちらを見上げてくる。
「あ、あの……出来ました……痛く、ないですか?先輩」
「別に……それよりお前にやって欲しい事、あんだけど」
「私に、ですか?」