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たまのケージ【ヒロアカ】

第9章 事情聴取(相澤消太)


 「あいざわ……しょうた……」

 聞いた事のない名前だった。
 
 新規だな。

 予約時間は17:00……もうすぐじゃん。

 そんな事を思っていると、お店のドアが開いた。
 「こんにちは、お待ちしておりました!」
 「……どうも」
 ちょっぴり気だるげに入ってきたのは、ロン毛で全身真っ黒な服の男の人。

 この人が相澤さんか。

 預からなきゃいけない荷物は……無さそうだな。

 「ご来店が初めての方に、こちらのご記入お願いしてます。書ける範囲で構わないので、お願いいたします」
 営業スマイルで、カルテを渡す。

 すると相澤さんはレジ前の椅子に腰掛けて、すらすらとカルテに記入し始めた。

 あ、よかった。

 たまにカルテ書くの、嫌がる人居るからなぁ。
 相澤さんも見た感じ、そんなだと思った……

 つい、ボールペンを走らせる手に見入っていると顔だけ上げた相澤さんと目が合ってしまった。
 「……何か?」
 私ははっとした。

 な、なに見入ってんだ……。

 準備、準備……!

 「あ、私準備していますので書き終わったら、教えてください!」
 
 何なんだ……

 私、ちょっとおかしい。
 
 ただの新規のお客さんじゃん。

 見入る必要は、ないわけで……
 
 「すみません」
 「はいっ!?」
 吃驚して振り向くと、相澤さんが立っていた。
 「書けましたけど」
 「あ、ありがとうございます!では、こちらにおかけください」
 カルテを受け取って、椅子をくるっと回すと相澤さんは素直にそこに座った。

 よし。

 「今日はどんな感じにしますか?」
 「短くしてください」
 「え、いいんですか?こんな綺麗に、伸びてるのに」
 うっかりそう言ってしまった。
 「別に伸ばしてるワケじゃないんで」
 
 あ、数年に一回しか美容院、行かない人かこの人。
 たまにいるのよね、めんどくさがって伸びっぱにする人……

 ま、いっか。
 切ってくれって言うんだから、切ろ。

 「じゃあ、思い切って短くしますね」
 長い髪にハサミを入れると、相澤さんの黒い髪がはらっと床に落ちた。
 「相澤さん、お仕事何されてるんですか?」
 まずは、当たり障りのない話題から攻めていく。

 ……会社員では、なさそうだな……

 「教師です」
 「そうなんですかぁ」 

 ……まさかの教師……
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