shooting star【怪獣/保科宗四郎/甘々】
第3章 自覚
「急いで戻るで」と、そうちゃんは急いで病院の中へ送り届けた後、スマホを取り出しイヤモニを耳に装着した。
「そうちゃん!!」
「怪獣倒して来るから、大人しく待っとるんやで」
病院の中は看護師達が慌ただしく患者を安全な所へ避難誘導している。
そんな中で、そうちゃんは小さい子に言い聞かせるように私に告げた途端、駆け出した。
こんな時、どんな風に声をかけたらいいのか分からない。
頑張って···は違う気がする。
だって、怪獣と戦っている時は既に頑張っているもの。
それじゃあ死なないで···、も何か違う気がする。
心配は心配だけれど···。
などと考えているうちに、そうちゃんの背中が小さくなって行く。
「あの時声かけとけばよかった」なんて、そんな後悔はしたくない。
私は息を吸って肺を空気で満たして思い切り叫んだ。
背中が痛くなったけど、そんなの気にしない。
「そうちゃーん!!待ってるからー!絶対に帰って来てねーー!!」
「!···、大丈夫やー!!安心しときーー!!絶対戻ってくんでーー!!」
踵を返したその横顔は、微かに口角を上げて笑っている気がした。