shooting star【怪獣/保科宗四郎/甘々】
第3章 自覚
『僕はガキん頃からの事好きやったんやで』
病棟に戻りながらそうちゃんに車椅子を押されて、タイヤが小さな砂をジャリジャリと踏みつける音だけが、やけに耳に聞こえた。
そうちゃんからさらっと告げられた告白に、私はどうして良いのか分からずに、ただただそうちゃんに車椅子を押されていた。
「ごめんな」と、頭上からそうちゃんの声。
私はそれに「え?」と顔を上げた。
「を困らせるつもりはなかったんやけど···何やつい、告白してしもたんや」
ピタッと、そうちゃんが足を止めた。
「···········」
「やから、返事は慌てんでええ。こうして再会したばかりやしな、ただ···僕の気持ちだけは伝えたかったんかもしれん」
モヤッとした嫌な感情が胸に溢れた。
悲しくて、暗い泥沼に沈んでしまいそうな。
「何やその顔。この世の終わりみたいな顔しなや」
「でも···」
聞かなくとも分かる。
そうちゃんが黒い隊服を着ている意味を。
だから···。
「僕はそう簡単には死なへんよ」
柔らかいそうちゃんの声に重なるようにして、その時、怪獣出現のアラートが町中に響き渡った。