第1章 出会い
「……うぅ、……はぁ、」私は自室のベッドで横になっていた。「うぅ、痛い……」顔の傷を擦りながら痛みに耐える。今日は特にお父さんの機嫌が悪かったせいもあっていつもは暴言を吐いて終わりなのだが、今日は暴力を振るわれてしまった。「うぅ……痛いよぉ……」私は涙が出そうになるのを堪えながら傷を擦る。それでも痛みは治らず、むしろどんどん強くなっていった。「……ぅぅ、誰か助けて」私は無意識にそう呟いて涙が出てきた。「うー」しばらく泣いていると『辛いときはいつでも言ってくれ』という言葉が思い浮かぶ。(そうだ……こんな時こそ彼に頼らないと)私はそう思い立ち急いで携帯を取り出す。そしてメールを送るが一向に返信がこない。「うぅ……」私は再び泣き出しそうになるが何とか堪える。それから何時間経っても返信がなかったのだった……ーーー「……もう朝?」私が目を覚ますと外は明るかった。どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ。「あっ!」返信が来ないことを思い出した私は急いで携帯を見る。「え?嘘……なんで?」そこには信じられないことが書かれていた。『ごめん、返信遅くなった。実は俺の家はシングルマザーで母さんは仕事が忙しいから俺が家事とか全部やって……妹たちの世話もやってるからなかなか携帯とか見れなくて……ごめん』と書かれてあった。「そうだったんだ……」私は少し安心すると同時に罪悪感を感じた。