第1章 出会い
それからも私は彼の家によく遊びに行くようになった。「ねぇ、あのコンテストどうなったの?」「あぁ、あれ!選ばられたんだよ!」「え?本当に!凄いじゃん!」私たちはいつもそんな他愛のない話ばかりしていた。でも、私はそれだけで幸せだった……ーーーそんなある日のこと。「……ねぇ、夢子」お母さんは真剣な眼差しで私を見つめると口を開いた。「……何?」私は不安になりながらも返事をする。「……実はね、お父さんがまた新しい仕事を始めようとしてるの……」お母さんは少し悲しげな表情で言うのだった。「えっ!?仕事の新しい事業?」「ええ……でもその事業は……あまり上手くいってないみたいなの……それでまたお父さんのストレスが溜まってきて……」「それでまた私を殴ったり蹴ったりするの?」「っ……」お母さんは私の言葉を聞いた瞬間、辛そうな表情を浮かべる。「……そうね……今はまだ大丈夫みたいだけどこれからどうなるかはわからないわ」お母さんは辛そうな声で言う。「そんな……」私は絶望感に打ちのめされる。「……でも、安心して!私がなんとかするから!」お母さんは笑顔で言うがどこか無理をしているように見えた。「お母さん……」私は泣きそうになりながらも笑顔を作って答える。