第35章 秘密のピクニック
「さん、今のうちに! 柱の皆さんはお館様との会合で、あと二時間は戻ってきません!」
炭治郎くんが鼻をヒクつかせ、安全を確認しながら私の手を取る。
横では玄弥くんが大きな体で周囲を警戒し、カナヲちゃんが私の荷物をひょいと抱えて、出口へと導いてくれた。
「……今日は、私たちだけ。……誰にも邪魔させない」
カナヲちゃんの決然とした言葉に、私はドキドキしながら屋敷を脱出。
向かったのは、柱たちも知らない、山奥の澄んだ滝つぼがある広場。
「さん、俺が握ったおにぎりです。……一生懸命作りました!」
炭治郎くんが差し出すおにぎりは、温かくて、彼の誠実さが詰まった味がしました。
「……これ、里で一番旨いって評判の干し肉だ。……お前に食わせたくて、並んで買ってきたんだぜ」
玄弥くんも真っ赤な顔で、大切に包まれた包みを差し出してくれた。
大人たちの「奪い合い」のような愛とは違う、寄り添うような優しさ。 私たちは芝生の上に寝転び、流れる雲を眺めながら、穏やかな時間を過ごした。
「……ずっと、こうしてられたらいいのに」
カナヲちゃんが私の肩に頭を乗せ、炭治郎くんと玄弥くんも私の両脇で、そっと手を握ってくれた。
柱たちの情熱的な夜も素敵だけれど、この「等身大の愛」に、私の心は芯から癒やされていくのであった。
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