第33章 炎柱との出会い
そんな騒がしい夜が明けた翌朝。
私が廊下を歩いていると、背後から「おい」と重厚な声で呼び止められた。
振り返ると、そこにはかつての炎柱、槇寿郎さんの姿が。
「お、お父様……おはようございます」
私が緊張で身を強張らせると、彼は
「やれやれ……」
と深くため息をつき、私を縁側に誘いました。
「……息子たちが揃いも揃ってお前に現を抜かしている。家の中が四六時中、火事のように騒がしくて敵わん」
槇寿郎さんは不機嫌そうに酒を煽りましたが、その横顔には、かつてなかった穏やかさが宿っていました。
「……だが、あいつらがあんなに生き生きとしているのは、お前のおかげだろう。特に千寿郎があれほど強く自己主張をするようになるとはな」
彼は立ち上がると、私の肩に大きな手をポンと置きました。
「……息子たちをよろしく頼む。あいつらは真っ直ぐすぎて、時に危うい。……お前のその『普通』の優しさで、煉獄家の火を絶やさぬよう支えてやってくれ」
その言葉は、彼なりの最大の信頼と、私を家族として認めるという「許し」の言葉であった。
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