第32章 村田の保護(?)計画 ― 逆効果の隠れ家
数日後。
お館様の「まあ、少し頭を冷やしなさい」という言葉で男たちが謹慎(という名の反省会)を命じられている隙に、私は村田さんと街へ繰り出しました。
「……やっと二人になれたな」
村田さんは少し照れながら、そっと私の手を握る。
柱たちのゴツゴツとした、力強い手とは違う、等身大の男の子の温もり。
「今日は、柱の皆さんのことは忘れて。普通の、ただのデートをしよう」
私たちは、ふらりと入った甘味処で一つの団子を分け合ったり、露店で見つけた安いけれど可愛いリボンを髪に付けてもらったりした。
「、似合ってるよ。……俺、やっぱり君と一緒にいると落ち着くんだ」
村田さんの優しい微笑みに、私の心も穏やかになっていく。
「私も、村田さんといると……『普通』の女の子に戻れる気がします」
二人の顔がゆっくりと近づき、あの日よりも少しだけ長く、甘いキスが交わされようとした
――その瞬間。
「……そこまでだ」
背後の団子屋の暖簾が、バサリと翻りました。
そこには、変装(という名の不審な着流し姿)をした義勇さん、無一郎くん、炭治郎くん、そしてなぜか派手に目立っている宇髄さんが勢揃いしていました。
「『普通』のデートは楽しめたか? だが、門限は疾うに過ぎているぞ」
義勇さんの手が、村田さんの襟足を掴みます。
「村田さん……俺たちが謹慎中なのをいいことに、随分と大胆ですね……」
炭治郎くんの笑顔が、もはや般若の域に達している。
「村田。お前、明日からの修行は『柱全員』が相手をしてやるぜ。光栄に思えよォ」
「ひ、ひぃぃぃぃ! 助けてー!!」
村田さんは連行され、私は私で「お仕置きが必要だね」と無一郎くんに抱きかかえられ……。
私の「普通の恋」への挑戦は、最強の男たちの圧倒的な独占欲の前に、あえなく散っていくのでした。
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