第31章 久しぶりの再会
唇が離れた瞬間、私の脳内は完全にキャパシティを超えた。
義勇さんの爆発、炭治郎くんの誠実、無一郎くんの執着、実弥さんの激情、杏寿郎さんの烈火、天元様の華やかさ……
そこに「村田さんの癒やし」という新たな属性が加わり、私の感情はパニック寸前。
「あ、あわわわ……村田さん、今、あの、えええ!?」
私が顔を真っ赤にしてパタパタと手を振ると、村田さんも同じくらい、いえ、耳まで茹で上がったタコのように赤くなっていた。
「ご、ごめん! 俺も、こういうの慣れてなくて……っ。自分からしといて、心臓が口から出そうだ……!」
二人して真っ赤な顔で、視線を泳がせながらオロオロとする。 そこには柱たちとの濃密な駆け引きとは違う、爽やかで、どこか微笑ましい「初恋」のような時間が流れていた。
「……あはは、村田さん、顔がすごいことになってますよ」
「君だって、湯気が出てるぞ」
二人の間に和やかな笑い声が響く。
……けれど、私は知っていました。
この穏やかな空気も、背後の茂みから
「……村田、表に出ろ」
という義勇さんの低い声や、
「村田さん……今のは、聞き捨てなりませんね」
という炭治郎くんの殺気が漂い始めたことで、長くは続かないということを。
「村田さん……逃げて。今すぐ全力で逃げて……っ!」
私の恋の迷宮に、また一人、愛すべき「被害者(?)」が加わった、ある午後の出来事でした。
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