第30章 秘薬の誤算、そして「獣」たちの目覚め※微裏閲覧注意※
逃亡計画さえも一瞬で露見し、もはや産屋敷邸に私の逃げ場はない。
ふらふらの足取りで蝶屋敷の診察台に倒れ込んだ私を見て、しのぶさんは深くため息をつき、眼鏡を指先で押し上げました。
「……これはいけませんね。皆さんも加減というものを知らないのですか。このままでは、さんの身体が壊れてしまいます」
しのぶさんは、棚の奥から怪しげな紫色の小瓶を取り出しました。
「これは、神経を鎮静させ、昂った情熱を強制的に抑制する『秘薬』です。これを今夜の夕食に混ぜておきましょう。そうすれば、今夜こそ貴方はゆっくり眠れるはずですよ」
「しのぶさん……ありがとうございます! 本当に、命の恩人です……っ!」
私は、今夜訪れるはずの静寂を確信し、涙ながらに彼女の手を握る。
……しかし、これがさらなる「地獄」への引き金になるとは、この時の私たちは知る由もなかったのだ。
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