第25章 逃げ場のない目覚め※微裏閲覧注意※
あれから、産屋敷邸の少し離れた場所に、三人で暮らすための平屋が用意された。
鬼がいなくなった平和な世界で、私を待っていたのは、二人の少年……いえ、二人の「男」による、逃げ場のないほど甘い共犯生活であった。
「……、起きて。朝ごはん、できてますよ」
耳元で炭治郎くんの優しく低い声が響き、頬に柔らかい感触が触れる。
「……だめだよ炭治郎。まだ僕の腕の中にいるんだから、離さないで」
反対側からは、無一郎くんが私の腰をぎゅっと抱き寄せ、首筋に深く顔を埋めくる。
「ちょ、二人とも……近い、近いです……!」
朝一番から、右からは日向のような温かいキス、左からは少し涼やかで熱い吐息。
二人の包囲網に、私の心臓は朝からフル稼働。
結局、二人に抱き上げられるようにして食卓へ運ばれ、炭治郎くんからは「あーん」で卵焼きを食べさせられ、無一郎くんからは「僕のお味噌汁も飲んで」と口移しに近い距離で迫られる始末。
「……あの、私、自分で食べられます!」
「だめだよ。君を甘やかすって、二人で決めたんだから」
無一郎くんが不敵に微笑み、炭治郎くんも
「俺たち、の世話を焼くのが、今一番の幸せなんです」
と、一点の曇りもない笑顔で言い放つのだった。
午後の縁側。 私が読書をしようとしても、それは叶わぬ願いで。
私の膝の上には無一郎くんが陣取り、私の手は炭治郎くんに握られて、指の一本一本を丁寧にマッサージされている。
「ねえ、。炭治郎の手、気持ちいい?」
無一郎くんが下から覗き込むように私を見つめる。
「えっ、あ、うん……すごく丁寧で……」
「へぇ。……じゃあ、僕のは『刺激的』かな?」
無一郎くんが私のブラウスの裾からひんやりとした手を忍び込ませ、脇腹を優しくなぞる。
「ひゃんっ!? む、無一郎くん!?」
「時透くん、あんまりさんを困らせちゃだめだよ」
炭治郎くんが宥めるかと思いきや、彼は私の耳元に顔を寄せ、熱い吐息を吹きかけた。
「……でも、今の声。俺ももっと聞きたいって、思っちゃいました」
(……この二人、仲が良いのか悪いのかわからない……!)
交互に注がれる愛情は、時に優しく、時に強引。
二人が視線を交わし、「次は君の番」「いや、一緒に行こう」と無言の合意を形成する度に私は逃げ場を失っていくのであった。
