第24章 翌朝の情景
柱たちの怒号と喧嘩の気配が遠く離れた道場で響き渡る中、離れの縁側では、嵐の後のような静謐な時間が流れた。
騒ぎを他所に、炭治郎と無一郎は、昨夜の熱を共有した二人だけの空気の中にいた。
「……時透君」
炭治郎が、昨夜より少しだけ低くなった声で親友の名を呼ぶ。
無一郎は膝を抱えて庭の木々を眺めていたが、その視線をゆっくりと炭治郎に向けた。
そこには、かつての「霞」のようなぼんやりとした虚無感はなく、愛する者を守り抜くという、一人の男としての強固な意志が宿っている。
「分かってるよ、炭治郎。言いたいことは」
無一郎はそう言うと、隣に座る炭治郎の手を、昨夜のように強く握りしめました。
「昨夜、僕たちが彼女に刻んだものは、一時の感情じゃない。……僕は、彼女がこの世界を救ってくれた事を忘れない」
炭治郎は力強く頷き、無一郎の手を握り返した。
「ああ。……は、この世界の運命を変えてくれた。そのために、彼女は一人でどれほどの重荷を背負ってきたんだろう。……俺は、もう彼女に一人で戦わせたくないんだ」
炭治郎の瞳に、決意の炎が宿る。
「俺一人じゃ、柱のみんなから彼女を守り切れないかもしれない。……でも、君となら、彼女に最高の安らぎをあげられる気がするんだ。俺たちが彼女の『家』になろう」
無一郎は少しだけ驚いたように目を見開き、それから彼らしい、少しいたずらっぽい微笑みを浮かべました。
「二人で一人分として、彼女を愛するってこと? ……いいよ。炭治郎の誠実さと、僕の情熱。二人で攻められたら、きっと彼女も逃げられないしね」
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