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大事なモノ~みんなの幸せを祈って~【鬼滅の刃】

第22章 凍てつく雪山、小さな太陽との出会い



雪を噛み締めて歩く彼の横顔。

唇は切れ、体は震えている。
それでも、私を決して離そうとしない。

あの時、私の胸に去来したのは、
「この、あまりにも純粋で優しい少年が、鬼殺隊という過酷な運命の中で、傷つき、失われていく未来だけは、絶対に避けなければならない」
という強い使命感だった。


(私は、彼らの未来を知っている。この子が、そしてみんなが、笑顔で生きていける未来を、この手で掴み取らなければ……!)

彼は私にとっての「希望」だった。
しかし、彼にとっての私は、まだ何者でもない。



「……よかった。この方、温かい匂いがする……。きっと優しい人だ」

私を背負いながら、ふと炭治郎くんが呟いた独り言。
その時、彼の心には、まだ「恋」の感情は芽生えていなかったはず。

ただ純粋に、目の前の私を助け、そしてその温かさに、彼なりの安堵を感じていたのだと思う。

けれど、彼のその無垢な優しさが、私の心を深く、深く射抜いた瞬間でもあり…



雪降る山の中で、私を見つけてくれた小さな太陽。
それが、私と炭治郎くんの、出会いであった。




「……さん?」

再び、現実の温かい声に包まれる。
私の隣で、いつの間にか目を覚ましていた炭治郎くんが、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

「……どうかしましたか? 急に、悲しい匂いがしたような……」

「ううん、違うの。懐かしい匂いがしたの。……炭治郎くんが、私を助けてくれた時のこと、思い出してたの」

私がそう言うと、炭治郎くんは少し照れたように頬を赤らめた。

「あ、あの時は、さんを見つけられた俺が、本当は一番助けられていたんですよ。……貴方という人が、俺の前に現れてくれて、本当に、嬉しかったから」

彼の瞳は、あの日と変わらず、真っ直ぐで温かい光を宿している。
その言葉に、私の胸は温かい幸福感で満たされた。

(ありがとう、炭治郎くん。あなたに、そしてみんなに、出会えてよかった)

私は彼の腕にそっと頭を預け、再び目を閉じた。
今夜は、この温かい腕の中で、幸せな夢を見られそう。

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