第22章 凍てつく雪山、小さな太陽との出会い
夜風が心地よい縁側で、炭治郎くんの温かい腕に包まれながら、私は目を閉じた。
耳元で聞こえる虫の音と、彼の穏やかな寝息。
今のこの平和な日常があることが、まるで奇跡のよう。
(炭治郎くん……あなたが、私を見つけてくれなかったら、きっと私は今ここにいなかった)
遠い記憶の扉が、ゆっくりと開く。
あの日のことは、今でも鮮明に思い出せる。
私が任務中に迷い込み、すべてに絶望していた、あの雪山でのこと。
頼る人もなく、ただひたすらに凍える体で震えていた私。
吹雪は容赦なく視界を奪い、心まで凍りつかせようとしているようだった。
(ああ、もうダメだ……誰も来ない。ここで、一人で死んでいくんだ……)
そう諦めかけたその時。
「大丈夫ですか!?」
吹雪を切り裂くように、力強くも優しい声が聞こえた。
顔を上げると、そこに立っていたのは、ボロボロの隊服に身を包んだ、まだあどけなさの残る一人の少年。
彼の背中には、小さな箱を背負い、その手には刀を握っていた。
その額には、大きな痣。
竈門炭治郎くん――。
彼は、私の姿を見るや否や、駆け寄ってきた。
「足が凍えています! すぐに暖を取らないと……! 俺の背中に乗ってください!」
驚くべきことに、彼は私という見知らぬ人間に、一切の警戒心も疑いも抱かなかった。
ただひたすらに、目の前の私を「助けたい」という一心で、その小さな手を差し伸べてくれたのです。
「で、でも……あなたも、その、大変なんじゃ……」
「大丈夫です! 俺は長男なので、大丈夫です! さあ!」
彼は私を自分の背中に背負い、さらに前側に、まるで宝物のように大切に背負っていた木箱――禰󠄀豆子ちゃんの入った箱を背負い直した。
彼の背中から伝わってくるのは、ひどく疲れているはずなのに、決して折れない強い鼓動。
そして、ひだまりのような、温かく、懐かしい匂い。
その匂いは、絶望で凍りつきそうだった私の心を、ゆっくりと溶かしていくようだった。
「俺が必ず、麓まで連れて行きます。だから、諦めないで!」
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