第2章 柱合会議と、霞の少年
お館様は、どこまでも慈悲深く、寛大な御方だった。
昨夜、彼は私の素性についてそれ以上深く問い詰めることはしなかった。それどころか、異世界の住人である私がこの世界で浮かないようにと、専用の隊服まで至急手配してくださったのだ。
届けられた隊服を身に纏い、私は鏡の前で自分を見つめる。
サイズは少し大きめで、袖は手が隠れるほど長い。
どこか霞柱の少年を彷彿とさせるデザインだ。
「……なんでこの世界に、こんなデザインの靴があるんだろう」
足元は、ロリータファッションを思わせる丸みを帯びた可愛らしい靴。羽織は、今の私に合わせたようなパステルブルーのグラデーションが施されている。
(まだ私の適性が分からないから、暫定的なデザインなのかな……。でも、すごく綺麗)
「さて……そろそろ時間だ」
覚悟を決め、私は部屋を出た。これから、あの「柱」たちとの顔合わせが待っている。
不安がないと言えば嘘になる。
けれど、原作の知識を持つ私には、彼らに待ち受ける過酷な未来が分かっている。
(みんなの命がかかっているんだ。助けたいなら、私がしっかりしなきゃ)
「失礼します」
案内役の「隠」の丁寧な声が響く。
「はい! 準備はできております!」
私は一歩を踏み出した。
この一歩が、皆を幸せにするための大事な第一歩になると信じて。
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