第16章 上弦の急襲、そして覚悟
しかし、
その穏やかな「訓練」は、一瞬にして地獄へと変わり果てたた。
「あははは! 見つけた、見つけたぁ! 無惨様が欲しがっている『おもちゃ』だ!」
空気が凍りつくような不快な笑い声。
上空から舞い降りたのは、上弦の参――猗窩座(あかざ)。
あるいは、情報を書き換えようとする私の力に呼応して現れた、更なる強敵。
「……[#dn=2#]、下がっていろ!!」
「……邪魔だよ、鬼。彼女に触れるな」
義勇さんと無一郎くんが同時に飛び出す。
水流と霞が交差し、凄まじい衝撃波が森の木々をなぎ倒した。
けれど、上弦の圧倒的な再生能力と速度に、二人の柱ですら防戦一方に追い込まれる。
「ははぁ! 柱が二人も守るとは、よほど価値があるようだ!」
義勇さんの肩から血が噴き出し、無一郎くんが壁に叩きつけられる。
その光景を見た瞬間、私の胸の奥で、お館様から聞いた「力の正体」が熱く脈打つ。
(……この力は、誰かを傷つけるためのものじゃない。みんなが生き残るための……運命を変えるための力なんだ!)
私は逃げるのをやめ、二人の前に飛び出した。
「[#dn=2#]! ダメだ、戻れ!!」
義勇さんの叫びを背に、私は両手を広げ、心の中で物語の結末を書き換えるように祈る。
「……私の大切な人を、奪わせない!!」
カァァァァァッ!!
周囲一帯が、眩いほどの純白の光に包まれる。
それは鬼を殺すための光ではなく、この空間そのものを「平和な過去の情報」で上書きする力。
鬼の再生が止まり、その身体が崩壊を始める中、私は力の使いすぎで膝から崩れ落ちた。
*