第11章 道中の甘い「わがまま」
「……ねえ、。歩くの遅くない?」
歩き始めて数時間。
無一郎くんがふと足を止め、振り返る。
「ご、ごめん。やっぱり無一郎くんのペースには追いつけなくて……」
私が肩で息をしながら謝ると、彼はじっと私の顔を見つめた後、ふいっと視線を逸らしました。
「……お腹、空いた。あそこの茶屋で休憩する」
彼が指差したのは、街道沿いにある小さなお店。
席に着くなり、無一郎くんは「ふき味噌のふろふき大根と、お団子」を注文した。
「これ、食べていいよ。あーんして」
「えっ、あーんって……自分で食べられるよ!」
私が赤面して断ると、彼は途端に不機嫌そうな顔をして、私の袖をぐいっと引っ張る。
「……やだ。僕が食べさせてあげたいの。君、すぐどこかに行っちゃいそうだから、こうして捕まえておかないと不安なんだよ」
(ええっ……!?)
あの無表情な無一郎くんが、少しだけ頬を膨らませて子供のように強請ってくる。
「……ダメ?」
首を傾げて覗き込んでくるその瞳に抗えるはずもなく、私は真っ赤になりながら、彼が差し出すお団子を口にするしかなかったのであった。
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