第4章 水柱のスパルタ稽古
「い、……いつから、そこに」
「あ、あの! 今来たところです! 羽織をお返しに……あ、あと、鮭大根、お口に合ったみたいで良かったです……!」
「……見ていたのか」
「えっ、いえ! その、とっても美味しそうに召し上がっていたので……」
義勇さんはガタガタと震えながら、必死に平静を装おうとしていたが、赤くなった顔までは隠せない。
彼は気まずそうに視線を泳がせた後、消え入りそうな声で言った。
「…………あまり、他の者には言うな。特に、胡蝶には」
「はい、もちろんです! 二人だけの秘密にします!」
私がニコッと笑うと、義勇さんはさらに顔を赤くして、持っていた箸を落としそうになっていた。
(……なんだか、クールな水柱様だと思ってたけど。本当は、すごく可愛らしい人なのかもしれない)
昨日のアクシデントの気まずさが、彼の意外すぎる「鮭大根スマイル」のおかげで、少しだけ温かな色に塗り替えられていくのを感じた。
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