第1章 【プロローグ】邂逅、そして約束
「……分かった。ひとまず、君が嘘をついているとは思えない。それに害意もないようだ。そんなに身構えなくていいよ。事情をすぐには話せないということも、理解した。安心してほしい」
お館様は、柔らかく微笑み、言葉を継いだ。
「私なりに考えてみたのだけれど……君からは、無惨を討滅することに貢献したいという強い意思を感じる。それで合っているかな?」
「はい。私は鬼の味方をするつもりは、毛頭ございません。今はまだ詳細を明かせない非礼をお許しください。ですが、機が熟せば必ず、お力添えをさせていただく所存です」
「うん、わかったよ。きっと、今一番動揺しているのは君自身だろうからね」
「……お気遣い、感謝いたします」
私は深く頭を下げ、精一杯の敬意を示した。
「今更で失礼。大事なことを聞いていなかった」
ふわり、とお館様が私の前に跪き、視線の高さを合わせた。
「君の名前を聞いてもいいかな?」
「あっ!」と間抜けな声が出てしまい、顔に熱がこもる。
「し、失礼いたしました! 私は、と申します! まだ自分のことで精一杯ではありますが、いつか鬼殺隊の皆様の役に立ちたいと思っています。私のことは、どうぞお好きなようにお呼びください!」
「それは頼もしいね。では、名前で呼ばせてもらおうか。」
「はい!」
二人は同時に立ち上がり、通じ合うように頷き合った。
「それはそうと」
とお館様が首を傾げる。
「君はどこに住んでいるのかい?」
「っ……あ……」
口を濁した私を見て、お館様は察したように目を細めた。
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