第1章 プロローグ
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「…分かった。ひとまず、君は嘘ついているとは思えないし、害はないだろうし、そんなに身構えなくていいよ。そうだね、今直ぐ詳細を話せないのは分かったから安心してほしい。…そして」
『はい、何でしょうか?』
「僕なりに考えてみたのだけど、きっと君は鬼舞辻󠄀 無惨を討滅する事に貢献しようという意思も感じられるのだけど、合ってるかな?」
お館様は笑顔で、私に問う。
『はい、私は鬼側の仲間になるつもりは一切ございません。詳細を直ぐにお伝え出来ないのは誠に申し訳ございません。ですが、分かり次第、必ず連携を取らせていただきたい所存でございます』
「うん、わかったよ。きっと、今一番動揺してるのは君だと思うからね」
『お気遣い、感謝いたします』
目と頭を伏せ、私なりの敬意を見せる。
「今更で、失礼。大事な事を聞いてなかったようだ」
お館様はフワっと私の前に膝をついて目線を合わせた。
「君の名前を聞いても?」
あっ!と、間の抜けた声を発して少し顔に熱がこもる。
『し、失礼致しました!私は と申しますっ!
今はまだ、自分の事で精一杯ですが、これから鬼殺隊の皆さんの役に立てたらいいなと思っています!
そして、私の事はどうぞお好きな方でおよびください!』
「それは頼もしいね。じゃぁ、名前の方で呼ばせてもらうね?」
『はい!』
二人同時に立ち上がり目を合わせ、どちらからともなく頷いた。
「それはそうと」
『?』
はキョトンとした。
「そういえば、君は何処に住んでいるのかい?」
『っ…あ…』
「その表情だと、何か事情があるようだね」
『す、すみません…。それも分からなくって…。
あ、でも!そこは気になさらないでください!
迷惑をかけることはしたく無いので、適当に宿を探します!』
「うん、きっとならそう言うと思ってたよ。
だけど、私は女の子をこんな暗い中へ追い出す性ではないのでね…。」
お館様は私にニコっと微笑んである提案をしてくれた。
「とりあえず、の事は信じることにしたから、その印に今日はここに泊っていきなさい」
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