第1章 プロローグ
『っ…!』
私は目の前にある光景を見て凄く焦っている。
・・・いや、多分現実なのかどうか分からない。
「ゆっくりでいいから話してごらん」
優しい声が私に話しかけられる。
『えっと…』
私の頭の中は渦を巻いたような混乱状況。
(これは夢なのかな?)
私は混乱しながらでも状況を整理し始めた。
『はい、すみません…私自身も整理が出来ていなくて…』
「ほう?」
まず、現在の状況としては目の前に私がずっと推していたアニメ、
【鬼滅の刃】の作品に出てくる通称'お館様'が目の前に居る状況。
彼は作品の中でも、主人公を含む いろんなキャラクター達に慕われている鬼殺隊のトップの御方だ。
それで、気づいたら何故か屋敷の中で気絶していたみたい…
私はまず深呼吸をさいて一息つき、
冷静を装った。
『取り乱して申し訳ございませんでした。産屋敷 耀哉様。そして、いきなりお屋敷の中に入り込んでおり、ご迷惑をお掛けし申し訳ございません。』
私は強調するかのように目の前いる男性へ膝魔付きながらハッキリと声を出した。
「さっきの事は気にしないで構わないよ…それと、僕の事を存知っているようだね?」
少し驚いたような表情を見せるも、直ぐに元の優しくも冷静な表情に戻るお館様。
…流石だな。
正直な感想として、彼は冷静な方だと判断する。
(やっぱり、これって私が知ってる世界だ!)
確信を得たような、何となく目の前のお館様は【信頼できる人】という直感が私の中で敵ではないと信じつつ、また語り続けた。
『はい、私は貴方が率いる鬼殺隊の事や他にもいろいろと…存じています。そして、この世界がどのような結末になるのかも』
「まるで君は、未来から来たかのような発言に聞こえるね」
『…すみません、詳しいことは今は言えません。何しろ私も分かっていない事が多すぎて。
でも、確かに言えるのは私は貴方たちの力にきっとなれるかと存じます。
…それこそ、貴方達みんなが敵にしている鬼舞辻󠄀 無惨の情報も持ち合わせています…』
お館様は流石にこれはただ物ではない、と言いたげな表示でこちらを見据えた。
*